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マンションを育てる

2015年6月20日「土曜日」更新の日記

2015-06-20の日記のIMAGE
多くのマンション所有者の人々は、買うときには、数年ここで暮らして、手狭になったり、ライフスタイルに合わなくなったら売って、他のマンションなり戸建てに移ろうという考えもあったのは事実でしょう。でも、そのために今の生活をがまんして暮らすなんていうのはナンセンスです。そして、結局よほど立地がよくて構造のいいものでなければ、買ったときより値段が下がっているのが普通ですから、自分たちの生活ということから発想した方がいいと思うのです。そういう意味で、マンションでの永住を考える人たちも大勢出てきました。あるいはそうせざるをえないという状況なのかもしれません。住宅双六で、売った資金で、さらにいい住宅を購入できたというのはバブル期の一部の人だったわけです。しかし、ニーズにあった多様なマンションがたくさんできて、ストックとして流通すれば、自分の要求に合ったものを探せばいいわけですから、中古マンションは流動化するはずなのです。保守をしっかりやって資産価値を落とさないで、リフォームもきちんとやって、多様なニーズに応えられるような、住みやすいマンションに変えていくことで、いったん失った資産価値を上げていく必要があると思うのです。私は、建物は建てることが目的ではなくて、建ててから育てましょうと、ずっと言ってきています。デベロッパーやゼネコンは単なる供給者であり、それを育てていくのは所有者だ、ということです。そうは言っても物理的に劣化していくじやないかと言われるかもしれません。けれど、社会的なニーズに合った形で成長させていけば、新品の着慣れないごわごわのシャツよりも、適度になめされた気持ちのいいシャツになるということなのです。人間でも17歳をピークに肉体的には劣化していくわけですが、経験や知識をつんで社会的にはだんだんその人の価値があがっていくということがあります。欧米型の住宅の考え方に近い健全なストックとしての中古住宅に育て、健全なストックが流通する社会を志向していく必要があるのだと思います。

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