HEYA JAM

トップ > 平成28年5月> 23日

理想の暮らし

2016年5月23日「月曜日」更新の日記

2016-05-23の日記のIMAGE
ダイニングにある木のテーブルは、夕ン〇カネンさんが一人暮らしをはじめた時に購入したもの。たくさんの客人が訪れる彼らにとっては少々小さめだが、長く大切に使えるものを時間を掛けてじっくりと探す彼らの姿勢はとても素敵だ。キッチンに関しては、70年の間に一度も改修されていなかったので、なんと冷蔵庫を置くための場所もなかったそう。そんな小さなスペースに食器洗浄器とオーブン、ガスボトルそして冷蔵庫を組み込むのはとても大変だったそうだが、そんな苦労を感じさせないレイアウト。スペース自体は大きくできなかったのでキッチンに入るのは二人が限度と言いながら、すっぽりと仲良さそうに収まっているおふたりの姿がなんとも愛らしい。バスルームも大きく変更した箇所で、もともとあったバスタブを取り除いてシャワーブースと洗濯機スペースを確保したそうだ。潜在的にあった大きな窓という特徴に加えて、新たにこのスペースに登場したのが、特にフィンランド人のタン〇カネンさんがこだわりを見せた数々の照明。あたたかみがあり、光そのもののボリュームを感じられるリビング・ダイニングの丸いガラスの照明や、壁面に光を映し出す小さなスポットライトのレール照明。カーテンレールのボックスに収まった照明は冬の寒い屋外から部屋を守ってくれるあたたかなイメージがある。食事を美味しそうな色に見せるにはもう少し考える必要がある、という彼はまるで照明デザイナーのようだ。これが長くて暗い冬を部屋の中で過ごすフィンランド人の光に込められた想いなのだと強く感じた。個々の部屋だけではなく、空間全体を考えたプランの変更が無理のない動線を生み出し、実際の50㎡というスペースをはるかに越える広がりが得られている。そして夕ン〇カネンさんが年月を掛けて大切に育ててきた観葉植物たちは、フィンランドの暗くて長い冬に、二人の帰りを温かく出迎えることであろう。歴史ある古いアパートメントを上手に今の生活に対応させていくことが当たり前の社会。そんな「ものを大切にする」暮らしは環境に優しい住まい方の第一歩である。若いフィンランド人のライフスタイルは古き良き物を伝えていく住まい方であり、しかしまたどこか時代の最先端を行く雰囲気も感じさせてくれた。庭いじりのできる、土の空間を望む人が多い。植栽をたくさん植えたい、ユーティリティーの周りは機能的につくりたい、洋風なデザインがいい、座敷から和の空間をつくりたい…。このように庭への思いを書き出してみると、自ずと自分が求めている暮らしの理想が浮かんでくる。

このページの先頭へ