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財産づくりに大切な借金知識

2017年6月5日「月曜日」更新の日記

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借金に支払った利息や不助産の減価償却費で、家賃収入をオーバーした分は減税の対象になるということである。  アメリカの税法だと、自分の住んでいる家のために支払った金利も減価償却費もすべて経費として認められる。買った家を人に貸した金利もすぺて経費に計上できる。だから、アメリカで借金をすることは、節税を目的としていることが多く、それだけ節税の余地が多いということでもある。日本ではサラリーマンが借金をして家を買っても、金利は経費として認めてむらえない。減価償却費も認めてもらえない。ただし、営業用資産として買い入れたものに対しては、金利も減価償却も、収入を得るために要したブローカー料や修繕費もすべて経費として認められる・だから収入を経費がオーバーすれば、総合所得税の申告をする時に費用としてほかの所得から控除することができる。ワンルームーマンションの業者たちが「ワンルームーマンションをお買いになれば、節税になりますよ」と言って盛んに宣伝をしているのは、こうした面を強調しているのである。  ともかく借金には以上のような大きなメリットがあるので、不動産を買うのに借金を利用する人と利用しない人とでは、天と地ほどの差がついてしまう。実業家の人とか、法人では、借金のそうしたメリッ卜をよく心得ているので、昔から借金をして不動産を手に入れることには何の抵抗も感じなかった。ところが、個人には借金をタブー視する伝統があり、「家計は入るを図って出ずるを制する」というのが大原則であったから、つい2十年前までは、家を買うのにも、マンションを手に入れるのにも、個人や家庭で借金をする人はほとんどいなかった。  それに対して私は「お金があったら、マンションを買いなさい」 「お金がなかったら、お金を借りてきてマンションを買いなさい」「地方の人は、買いたくてもマンションがないのだから、土地を買いなさい」といってすすめた。まだ制度融資もできていなく、住宅ローンなんて言葉もなかった頃だから、尻込みをする人が多かった。しかし、過ぎ去って見るとわかることだが、借金を利用できた人は、自己資金でやれる少なくとも五倍の資金を動かすことができる。十倍に働かす人もある。そういう人にとって借金は物を動かす梃子みたいなもので、それをうまく活用した人は、短い間にうんと資産をつくることができるのである。借金を梃子にした、こうした不動産の買い方は、今日、個人の間にも広く理解されるようになっている。今後、不動産投資にも、依然として活用されることは間違いないだろう。  といった次第で、不動産投資は、これからマイホームを建てる人にも、ワンルームや分譲アパートを投資向きに買う人にも、また不動産を買ってそこで商売をやりたいと考える人にとっても、重要な分野であり、借金の知識を持っているかいないかで、財産づくりに大きな差がついてしまう大事な分岐点であることに変わりはないのである。  そこでまずマイホームづくりのことになるが、マイホームに対する考え方は、マイホームを既に持っている人と、まだ持っていない人とでは、当然、考え方が違う。自分の家を既に持っている人は、今、住んでいる家に不満を持っているとか、生活に余裕ができたから、もっと良い家に住みたいとかいった欲求を持った人である。もしくは、お金があっていつでもどんな家でも手に入れようと思えばできる身分の人である。あるとき、私の家に遊びにきた友人が、「センセイ。もうマイホームの時代じゃなくなりましたね。家を自分で持っている必要はありません。家の値段に比べて家賃のほうがうんと安いのですから、家は借りて住んだほうがトクですよ」 と言った。その友人は一部上場の花形企業の社長さんでヽもちろん・立派な大邸宅もお持ちだし、東京でも屈指の財産家である。自分の家があるのに、一戸建ての家にあきたのか、わざわざ高級マンションを賃借りして住んでいる。その彼が「家はリースの時代だ」といったのは、自分の経験から割り出して物を言っている面もあるが、時代の趨勢を指しての話でもある。  しかし、私が「まあ、そういうことが言えますね」と相槌を打っていると、そばできいていたうちの女房が猛然とつっかかってきた。  「Aさん。あなたはそうおっしゃいますけど、自分の家を持ったことのない人の身にもなって下さい。家はどうしても必要なものなんですよ」  ふだん穏健な言い方をするうちの女房に接しているだけにさすがの友人もたじたじとなってしまった。どちらの言い分も私にはよくわかる。公団住宅に住んで釘一木打つのにもいちいち許可を受けなければならない借家住まいをしてきた者にして見れば、何が何でも自分の持家に住むのが一生の願いである。そうした庶民の願いを無視して、土地の値段は遥か手の届かない空の上をかけあがって行く。だから家なんかなくてもいいのだと主張するのは何にもまして非情な響きを持っている。

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