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老朽アパートの再生ビジネス

2017年8月22日「火曜日」更新の日記

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 それにしても賃貸住宅とは気の毒な建物である。所詮自分が住むわけではないからとオーナー(大家)はコストをかけてくれないし、賃借人も「一時住まいだし」「自分のものでないし」と大事に扱ってくれない。愛着が醸成されないのだ。それゆえ老朽化などで投資価値が下がってくると、いとも簡単に壊される。賃貸住宅の平均寿命は25.8年(住宅・土地統計調査を元とした国交省推計)と、持ち家のそれより低いのが現状だ。  こうした賃貸ストックをリフォームによって入居希望者の途切れない物件へとリフレッシュさせたいが、リフォームしても必ず入居者が集まるのかと疑心暗鬼のオーナーに対し、確実な収益性を示した提案なしに説得は難しい。ただ、小手先のお化粧リフォームでは入居者の獲得は至難の業であること、建替えもまたリスキーであることから、確実性の高い提案には耳を傾けてくれよう。それには、ロケーションや建物スペック等を基にした入居者ニーズの把握と、そのニーズにマッチしたリフォームプラン、そして資金を確実に回収するための中長期計画(アセットプラン)の提示が必要となる。  リフォームに「機能回復型」と「性能向上型」があるように、老朽した賃貸物件においてもそれぞれのアプローチがある。賃貸物件における機能回復型は、空き室に入居者を呼び込むためのリフォーム、性能向上型は家賃アップのための大掛かりなリフォームといえよう。    さて、20~30年前に多く建てられた木造や軽量鉄骨アパートは、主に老朽化や設備の陳腐さ、専有面積の狭さから現在各地で解体の憂き目に遭っているが、魅力的な物件へと再生できるリフォーム技術は存在するわけで、ストックとしての価値は決して低くない。規格型住宅ゆえ、いったん改修ノウハウを取得したら、システマチックな実施が可能になるなどメリットも多い。多少の古さを味わいにして低コストでリフォームする手法もあれば、いわゆる「2戸1」等によって専有面積を広げ、現代生活にマッチした間取りに一新するリノベーション等も考えられよう。また低予算でのリフォームの場合、入居者に不便を補うだけの愛着を感じてもらえるための仕掛けづくりも欠かせない。  今後の入居者層としては、高齢者や障害者、子育て世帯、シングルマザー、外国人、ペット連れなどが狙い目になろう。こうした属性の人たちはこれまで入居制限等を受けてきた層であり、(問題解決のための知恵が必要ではあるが)依然潜在的な需要として大きなマーケットを形成しているからだ。

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