管理人はだれ！？

2017年12月5日「火曜日」更新の日記

　04年6月に発表された住宅金融公庫の調査結果によると、公庫住宅ローンの利用において、団塊ジュニア世代（1971～74年生まれ）と呼ばれる30歳代と、住み替え需要の多い60歳代の割合が増えていることがわかりました。 　とくに戸建て住宅の新築では、30歳代の割合が47.7％で過去最高となりました。 　団塊ジュニア世代の持ち家志向はここ数年顕著で、住宅産業の期待を担って需要をけん引しています。 　団塊ジュニア世代のマイホーム購入意欲の高さは、親の影響を受けていると思われます。 　親である団塊の世代（1947～49年生まれ）の持ち家比率は高く、首都圏では76％となっています。その内訳も一戸建て68％、マンション32％と、一戸建て志向が強いのです。これは高度経済成長期のイリュージョンの影響をもろに受けたことを意味しています。 　一戸建て住宅の環境で育った団塊ジュニアは、その影響をしっかり受け継いでいる危険な世代なのです。 　ですが、団塊の世代と団塊ジュニアでは生きている時代が違います。 　高度経済成長期に確立されたシステムは世代間に格差をもたらすことになりました。 　簡単に言えば、儲けた世代と大変な世代とに分かれています。 　具体的には1950年より以前に生まれた人たちが最後の豊かな世代です。彼らは「逃げ切り世代」とも言われます。「子孫に美田を残さず」の意識が強く、親世代の相続・生前贈与の受け皿ともなり、豊かな老後が望める世代です。 　それ以降に生まれた人は割を食っています。つまり「逃げ切れない世代」です。 　若い時は年功序列だから我慢しなさいと言われ、実績を上げようが上げまいが受け取る給料に大差はありませんでした。大した実績も能力もない先輩や上司はただ年功序列では上であるというだけで自分よりも高い給料を受け取っていたのです。 　そしていざ自分たちが年功序列を謳歌しようと思ったら、成果主義に変わってしまいました。当人たちにすれば最悪のパターンですから、成果主義に対して不満を言いたくなるのもわからなくはありません。 　バブルのピーク時にいくらでも金を貸すからと言われて家を買って、土地の値段が下がって家も売るに売れず、借金だけが残っている人もこの世代に多いのです。 　それより下の世代はもっと悲惨です。 　経済財政諮問会議が社会保障制度の一体的見直しをはかるに当たって、ある世代が生涯に政府から受ける利益と支払う負担を分析した内閣府試算を提示しました。 　その結果、60歳以上の世代は差し引き5647万円の受益超過でした。 　負担総額が1.3億円程度、受益の総額は2億円近くになります。 　現在、日本の60歳以上の人口はおよそ3000万人ですから、60歳以上の世代全体では、1700兆円という巨額が政府から支給される計算になります。 　一方、30代の場合は負担の方が743万円多く、20歳未満の世代は負担超が3952万円です。 　受益超過世代と負担超過世代の格差は最大で1億円に迫ることがわかりました。 　こうした現状を肌で感じた若者が労働意欲をそがれる気持ちもわからないではないと言ったらおかしいでしょうか。 　すでにフリーターは増えています。フリーターを日雇い、週雇いと考えれば、戦前の雇用状態に近づいているとも言えます。 　このように団塊ジュニアをとりまく状況は実際には厳しいのです。にもかかわらず親の世代のイリュージョンを引きずってしまっているのです。

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