HEYA JAM

トップ > 平成30年2月> 17日

自助努力の「私的年金」

2018年2月17日「土曜日」更新の日記

2018-02-17の日記のIMAGE
 民間賃貸住宅管理会社の約4割が、管理する住宅の大部分について「高齢者入居不可」としているのが現状です。では、公的賃貸住宅などではどうでしょうか。  国のバックアップによって大家が安心して部屋を貸せる環境をつくり、高齢者の住まいを確保することを目的として、2001年4月に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が施行されました。これは、00年時点で約1540万世帯(全体の約33%)の高齢者がいる世帯が、15年には約2030万世帯(同約41%)になると予想されていることが背景にあります。そのうち、00年には約680万世帯(同約15%)だった単身・夫婦世帯は、15年には390万世帯増加しており、20年には1245万世帯(同約24.7%)になると考えられています。  そのため、さまざまな施策が検討されました。  登録した物件には高齢者居住支援センターの家賃保証をつけられるため、連帯保証人をつけなくても高齢者が住まいを借りられるようになるのではないかと、制度導入当初は考えられていました。連帯保証人の問題をクリアーできるように思われたのです。  けれども、現段階では高齢者居住支援センターの家賃保証をつけた上で、さらに連帯保証人をつけることを求める大家も依然として少なくない状況です。家賃保証がついている分だけ連帯保証人になってくれる人の安心感が高まるのでは、という点に関しても、どれほどの効果があるのかわかっていません。  そのため、09年5月には「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が改正されてさまざまな施策が盛り込まれ、今後高齢者にやさしい住宅の促進が期待されているところなので、経過を見守る必要があります。  さらに念頭においておきたいのは、年金という収入だけでなく、支出についてです。 総務省が実施している調査によると、いまのお年寄りの月間家計支出はおおむね24万円程度です。ただし、よく見ると、「住居費」はわずかに1.6万円あまりになっています。  実は、いまの60歳代以上の持ち家率は8割超(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(平成23年)」より)です。親が早くに亡くなって相続で譲り受けたり、潤沢な退職金でローンを完済した人も多く、住居費が少額ですんでいるのです。けれども、一生賃貸でいく人は、とうてい1.6万円の家賃でおさまるわけはありません。ましてや、35年など長期のローンを組んで住宅を取得すると、退職後まで返済が続きます。  つまり、いまの現役世代が老後を迎える時点では、いまの年金世代より年金収入も退職金も少ない上に、平均額として考える家計支出の額も、いまの年金世代より多くなる見通しなのです。不足分は、自助努力の「私的年金」で補う必要があります。

このページの先頭へ