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地上げ屋騒ぎの裏で。固定資産税という落とし穴

2018年3月3日「土曜日」更新の日記

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 1980年頃から、底地買い、地上げ屋の暗躍がはじまった。  ある日、突然見知らぬ男がやってくる。 この家の土地を買ったから出ていけと言う。 断わるとさまざまな手段を使って脅す。 近所の空き家に入りこみ大きな音をたてる。 家畜の臓物をまき散らす。  土地が自分の所有地の場合でも、土地と家を売れとしつこくやってくる。 時価の2倍、3倍で買うと言う。  こうして、東京、大阪などの大都市の都心地区は不動産業者、大企業の手によって買い占められ、オフィスビル用地、マンション用地などになっていく。 土地は何人もの不動産屋をころがされている間に、2倍、3倍と値が上がっていく。 ここでも住人は追い出されるが、この場合、土地と家を高く売って、今まで見たこともない何億という巨額の金を手に入れる者も出てくる。  都心の家を売って、世田谷・杉並・目黒などの、地価の高い地域で家を買っている人たちは、これから毎年高い固定資産税がかかってくることに気がついているのだろうか。  この人たちの収入はむろんさまざまであろう。  しかし、もともとあまり収入はないが、たまたま古い家が都心にあって数億円で売れたから郊外に高級住宅を買った、という人もいるはずである。 買い替えるときは、売ったお金があるからそれでよいが、そのあとかかってくる、そして年々上昇してゆく固定資産税、都市計画税を払えるのだろうか。  5万円、10万円という金額ならなんとかなるかもしれない。しかし、毎年50万円、100万円という固定資産税を負担できるのだろうか。 仲介業の不動産屋は、よほど親切な人かおせっかいやきでもないかぎり、そんなことは教えてくれない。 むしろ時価より高く売りつけ、儲けを大きくしようとしている。  高級住宅を手に入れても、固定資産税が払えなくて住み続けられなくなるかもしれないのである。 世帯主が死んだときは、もっと莫大な相続税がかかってくる。  市場価格6億円の家の相統税評価額はだいたい3億円ぐらいで、妻と子どもが2人いる場合、子ども1人ずつが1500万円の相続税を払わねばならない。  あるいは妻や子どもや兄弟姉妹のあいだで、ときには親類をもまきこんだ遺産争いが起こるかもしれない。 みんなが金持ちで余裕のある生活をしていればそんなことにはならないかもしれないが、住宅ローン、教育費その他で家計が火の車という状態であれば、背に腹は代えられないだろう。  いずれの場合も家を売るはめになり、年老いた夫を失った妻は、ふたたびどこか移り住む場所を求めて出ていかねばならなくなるだろう。

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