換気すらも機械まかせ
2018年5月1日「火曜日」更新の日記
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- 深刻化しているのは、室内の空気汚染です。
風通しを忘れて閉めきって暮らしていると、部屋の空気は当然ながら汚れます。排気の機能をもたない暖房機を使えば、酸欠状態すらひきおこしかねません。室内に充満する化学物質による汚染も心配です。
というわけで換気が必要になってくるわけですが、せっかく暖まったり涼しくなった室内を開け放すのはおっくう。台所の換気扇を回すのが精いっぱいというのが現状ではないでしょうか。
確かに、大都市の過密環境は閉めきりの生活を余儀なくさせます。四季を問わず充満する車の排気ガス、騒音。気になるお隣りの視線や生活音。夏の外気はアスファル卜の照り返しやクーラー、車の排出熱で煮えたぎるような暑さです。こんな環境では窓を開けて部屋の換気などできるものではありません。
自然換気が無理だとしたら、次に考え出されるのは機械による換気ということになってきます。
最近では、仕様アップした高気密、高断熱の住宅のなかに、365日・24時間換気システムを備えたものまで登場しています。このタイプの家は、1年中機械設備による換気をし続けるのです。そして、機械の特性もあって、気候のよい春や秋さえも換気を止めることはできません。大都市の過密工業地帯ならいざ知らず、一般の住宅街ではおかしな話ではないでしょうか。
機械設備に生活のほとんどを委ねる不自然さはもとより、このような暮らし方は非常に危険でもあるのです。停電したら?故障したら?コストは? いったいどうなるのでしょう。考えるとゾッとしませんか。
家は永く住み続けるものです。しかし、設備はいずれ壊れるときがやってきます。おまけに目まぐるしい技術の進歩によって、年々バージョンアップしたものが誕生する。となると、取り替えやメンテナンスはどうなるのでしょう。また、今後の世界のエネルギー需要の動向によって電気代やガス代が高騰することはないのでしょうか。さまざまな疑問や不安がわいてきます。
そもそも、このような設備が人間にとってほんとうに意味のあるものなのでしょうか。不都合なことがおこると、何でも機械の力を借りて改善しようとする現代人の習性とおごり。それが住宅にまで及び、住む人の健全な体と心を蝕んでいるような気がしてなりません。
今、私たちは自然と人間との関わり方について、もう1度原点にもどって考えてみる必要があるように思います。

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