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金利上昇リスクをどう考える

2018年5月13日「日曜日」更新の日記

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 「賃貸マンションの家賃並みの支払いで持ち家が買えます」といった宣伝をよく目にします。さて、本当でしょうか。確かに、広告などに掲載されたシミュレーションの内容をみると、家賃並みのローン支払いで、持ち家を購入できるようになっています。でも、その中身をさらにじっくり検証すると、実はそのローンのシミュレーションが、「変動金利型ローン」や「短期固定金利型ローン」に基づいて建てられているケースがあるので、注意したいものです。  さて、変動金利型ローンや固定金利選択型ローンで長期にわたる住宅ローンを組むことのリスクですが、それはずばり金利上昇懸念です。変動金利型ローンは通常、短期プライムレート(優良企業向けの短期貸出に適用される金利)に1%を上乗せしたものが適用され、固定金利選択型は市場金利全体を参考にして決められます。ちなみに2002年12月時点の短期プライムレートは年1.375%。これに1%を上乗せした年2.375%が、現在の変助金利型住宅ローンに適用される金利です。短期プライムレートは、各銀行が資金調達コストに加え、市場金利の動向などを勘案して決められるもので、当然のことながら市場金利の変動によって上 下します。銀行の資金調達コストは、具体的にはコールレート、CDレートをはじめとする短期金利に連動して決まる傾向がありますので、変動金利型の住宅ローンに適用される金利は、こうした短期金利の動向を反映すると考えてよいでしょう。ただし、実際の住宅ローン金利(変動金利型)は、年2回の改訂であり、通常の短期金利ほど頻繁には変動しませんが、それでも長期の上昇局面に入ったときなどには、時間の経過とともに上昇圧力は強まっていきます。  金利水準が本格的な上昇局面に入ったとき、一番怖いのは「未払い利息」が発生することです。 変助金利型の住宅ローンを組んだ場合、金利上昇によって返済金額に占める利息部分の比率がどんどん膨らんでいくと、元本部分の返済まで行う余裕がなくなり、元本がいっこうに減らないという状況に陥ってしまうのです。  今は未曾有の超低金利でも、いずれは上昇に転じます。しかも、これからは国債の増発や、インフレターゲッ卜政策(デフレ経済から脱却するため、目標を定めて一定の物価上昇を促すこと)の導入など、金利が上昇しやすい環境下にあります。  今のところ、固定金利型の住宅ローンに比べて金利水準が低く、有利にみえる変動金利型の住宅ローンですが、今後5年、10年先を考えた場合、金利上昇によって返済負担が重くなるおそれがあることは、十分に留意しておく必要があるでしょう。  したがって、現時点において変動金利型や、固定金利特約型でも3年特約、5年特約というように、固定金利期問の短い住宅ローンを組んでいる人は、今後の金利動向に十分注意するとともに、本格的な金利上昇の兆しがみえたら、多少の手数料を支払ってでも、長期固定金利型に切り替えるなどの対策を講じたほうがいいでしょう。

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