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目先のキャンペーン金利よりも基本性能を重視する

2018年5月26日「土曜日」更新の日記

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 今、民間金融機関は個人の住宅ローンビジネスを拡大させるため、あの手この手で取引先を増やそうとしています。そのための方法の一つが、キャンペーン金利です。  確かに、何の優遇も受けないよりは、受けたほうがトクなのはいうまでもありません。が、「キャンペーン金利があるから」と、表向きの宣伝文句につられてローンを組んでしまうと、あとあと面倒なことにもなりかねません。  東京三菱銀行の「ゼロ金利時代実感キャンペーン」は、一定の条件のもとで、借入金利が下げられるというものです。通常、12年固定金利の住宅ローンに適用される金利は2.25%ですが、条件次第で10%まで低減。さらに、住宅ローン減税の適用を受けることができると、当初3年間の実質的な金利負担がゼロになります。金利ゼロ%でお金を借りることができるというのは、確かに魅力的です。  ただし、キャンペーンの適用を受けるためには、まずいくつかの条件をクリアしなければなりません。例としてあげた東京三菱銀行は、「東京三菱ダイレクト」と「メインバンク総合サービス」の利用を条件としていますが、他の銀行でも、キャンペーン金利の適用を受けるためには、たとえばポイントバンクの加入や公共料金自動引き落としを条件とするところ(あさひ銀行)、みずほのエース登録が必要なところ(みずほ銀行)などさまざまです。要は、住宅ローンの利用を機に、顧客の囲い込みを行おうという狙いが、銀行側にはあります。  今や、銀行の経営は限りなく不透明で、自分の取引銀行がいつ破綻に陥るかわかりません。 すべての銀行取引を単一の銀行に集約させるということは、それだけでリスクにつながるおそれがあります。たとえば一つの銀行に預金を集約させてしまったがために、その銀行が破綻して元金の一部がもどってこなくなったり(ペイオフ適用後の話ですが)、あるいは一時的に預金の引き出しが凍結されてしまい、手元資金の流動性に支障をきたしてしまうといったケースも想定されます。  また、キャンペーン金利は適用期間に制限が設けられています。すべての返済期間において金利優遇が受けられるのであれば、それは確かに有利でしょう。しかし、多くの金利優遇キャンペーンは、たとえば固定金利選択型で当初3年間とか、変助金利型で当初5年間というよう に、一定の期間が設けられています。なかには、その期間が経過した後も、一定の優遇金利を受けられるところもありますが、多くは期間が経過したら、その時点で通常金利にもどってしまいます。  また、金利優遇適用期間は原則として、他の金利タイプヘの変更が認められない、給与振込の指定を他の銀行に変更した場合、優遇金利が解除される、といった制約を設けているケースもあります。キャンペーン金利を受ける際には、こうした諸々の制約について、事前に把握しておくことが必要です。  住宅ローンの返済は、多くの場合、非常に長い期間が必要になります。ごく短期間の金利優遇を目的に、たとえば金利上昇局面で不利な変動金利型の住宅ローンを組むというのは、本末転倒の話です。  それよりもまずは、固定金利の期問を20年、ないし30年というように長期で設定できるかどうか、その際の適用金利は、住宅金融公庫融資と比べて有利なのかどうか、あるいは変助金利を選択するのであれば、低金利から金利上昇局面に移行する際に、すみやかに変動金利型から固定金利型に金利のタイプを変更させることができるのかどうか、といった点を重視したほうがいいでしょう。

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