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変動金利型で怖いのは未払い利息の発生

2018年5月27日「日曜日」更新の日記

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 このところの低金利によって、適用金利の水準が低いだけに、変動金利型の住宅ローンに注目している人もいるでしょう。しかし、変動金利型を選択する際は、何はさておき、金利上昇局面への対応を第一に考える必要があります。  なぜかというと、金利の上昇にともなって、「未払い利息」が発生するおそれがあるからです。 もし、未払い利息が発生すると、いくら返済しても元金が減っていかないという状況に陥ってしまいます。  住宅ローンの毎月の返済総額は、基本的に元金の返済部分と、利子の返済部分とに分かれています。変動金利型の場合、市場金利の水準が上昇すれば、それにともなってローンの利子返済部分の金額も増えていきます。  しかし、変動金利型住宅ローンは、市場金利の水準が上昇した翌月から、即座に支払い総額が変更されるわけではありません。適用金利そのものは年2回見直されており、そのときの金利が反映されることになっていますが、実は返済額自体は5年間、変わらないしくみになっているのです。  それとともに、「125%ルール」というものもあります。これは、金利が急激に上昇したとき、返済額が大幅にアップすることを避けるために設けられたルールです。どういうことかというと、5年ごとの返済金額の見直し時に、新しく変更された返済額が元の返済額の1.25倍を超えないようにするというものです。しかし、超えないようにするとはいっても、実際の金利水準が大幅に上昇し、1.25倍を超えるような状況になることも考えられます。その際は、超えた部分がどんどん後に繰り越されていきます。つまり、どこかの段階では、そのツケを払う必要があるのです。  この3つのルールは、急激な金利上昇によって、借り手の負担が急増することを避けるために設けられているのですが、返済額が急激に増えないため、逆に現状に安心しきってしまい、最後の最後になって危機的な状況に追い込まれてしまうおそれがあります。  実際、未払い利息がどういう状況で発生するのかを、簡単なシミュレーションをもとに説明してみましよう。  まず、次のようなケースを想定してみます。  借入金額は1000万円、金利は2.375%の変助金利型で、これを240回(20年)にわたって返済していった場合、月々の返済金額は5万2384円になります。初回の返済金額の内訳は、元金部分が3万2592円で、金利部分が1万9792円です。  ところがその後、急激な金利上昇にみまわれ、12回目の返済が終わった時点で、金利が7%にまで跳ね上がったとしましょう。この時点での残債は960万4613円です。すると、この残債に対して7%の金利を負担することになりますから、金利部分の支払いだけで5万6026円に跳ね上がります。  もちろん、これはきわめて極端な例ですが、すでにこの時点で、利息の支払い額が、当初決められた毎月の返済金額である5万2383円を上回っています。そして、この差額に相当する3643円が、未払い利息となるのです。  こうなると、毎月の返済金額は金利の支払いのみにあてられ、元本部分はいっこうに減らなくなってしまいます。まさにローン地獄です。  もちろん、その後、再び金利が低下していけば、元金の返済にあてる部分が増えていくため、徐々にローンの支払い負担は軽減されていきますが、問題は低い金利水準のときに組んだローンであるにもかかわらず、それが自分の返済余力ギリギリであるケースです。このような場合は、金利が上昇するにつれて、未払い利息の発生さえ待たずに、返済不能に陥るおそれもあります。金利上昇懸念が強いときは、変動金利型の選択はきわめてリスキーであることを、心得ておくべきでしょう。  金利が上昇に向かう局面で、変助金利型のローンを組んでも大丈夫な人は、それこそ年収1000万円を超えるような高額所得者層に限られると思われます。

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