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占有移転禁止の仮処分

2018年7月16日「月曜日」更新の日記

2018-07-16の日記のIMAGE
この点、鳩の糞被害で窓が開けられなくなるほどであれば、単なる不快感を超えた衛生上の問題にまで進んでいます。建物の損傷程度の点や、他の借家人からの家主に対する損害賠償のおそれなどを考慮すれば、用法違反と判断してもやむを得ない程度に信頼関係の破壊に至っているとすることは十分可能でしょう。そこでその借家人に鳩に餌をあげないように催告しても、それに応じない場合には、賃貸借契約の解除も可能でしょう。設問②のように、喫茶店と違法なゲーム賭博の営業ではまったく使用目的は異なり、使用目的違反は明らかで、賃貸借契約上の信頼関係が破壊されているといえます。したがって、家主は賃貸借契約の解除ができます。また、当初からゲーム賭博を目的としていながら喫茶店の営業を偽って契約させた場合には、詐欺によって賃貸借契約を取り消すことも可能でしょう。このようなケースでは、明渡しを任意に受けるのは難しいでしょうから、早めに明渡訴訟に踏み切ることが望ましいと思われます。この場合には、訴訟中の無断転貸等の事態も予想されるので、現在の借家人に対する明渡しの判決の効力をその後、明渡時に実際に使っている(占有している)人にも及ぼすことができるように、占有移転禁止の仮処分という方法をとっておく必要性も高いでしょう。

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