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感謝される貸し方(二)設備と安全

2018年10月14日「日曜日」更新の日記

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日本人は古来我慢の生活をし、奢侈よりも素朴な自然を好む民族である。その日本人が、20世紀に入って、たった30年の間に富める国になったので、あわててしまった。贅沢が何かも解らず、金持ちとは何かも解らず、やたらに高いものを買い、金さえ使えば良いと勘違いしたのである。その実例は賃貸の分野にも見られ、ちぐはぐな人間模様はあきれるほどで、とまどうのにこと欠かない。経済が育って、心が育たなかったからである。例えば、自分は豪邸に住みながら、所有するアパートでは、台所に給湯器さえ付けてない。何力所も土地を持っていながら、狭い土地にマンションを大きく建てたために、南側に建物がそれてしまい、陽がほとんどささない。他人の土地に接して建てたために、日陰になったのであり、そんなことは誰が考えても解ることで、小さい建物を離して建てれば良かったのである。かと思うと、アパ・マン経営で毎年多額の利益をあげ、納税していながら、借主のささやかな希望であるドアのピッキング防止キーの交換にすら応じてくれない。では、そのオーナーがどういう人かと思うと、信用もあり町会の役員もしていて、立派な人なのである。こんな人が、何故文化を解ってくれないのか、と不思議に思うが、実は根底には前述のとまどいが内在しているのである。つまり、急に豊かになりすぎて、人間性が追いつかない。未だに、倹約、素朴さ、我慢の習性が、身にしみついている。さて、ここまで書けば、皆さんは、オーナーとはどうあるべきか、不動産業者はどうあるべきかは、お解りいただけるものと思う。話は簡単である。室を貸して感謝される方法は、借り手(レシーズ)が快適に安全に生活するのを、どうやって手伝うか、ということなのである。別に、豪華な設備や造作は要らない。必要で、しかも良いモノをつけてあげるだけである。もう一歩踏み込んで言えば、“自分がもし住むとしたら、これだけはあった方が良い”というモノを、取り付けてあげればよい。何も金をかけて、浴室内にテレビなどを付けることはない。それよりも、玄関ドアを二重のデンブルキーにしたり、シャッターを二重にしてジャバラの格子を付けるとか、快適さも考えてあげる。まだ誰もつけてないが、本棚も要る。洗面台には、折りたたみの椅子も必要。入居者にやさしくしてあげる。部屋は商品である。商品の質を上げて、喜ばれる。これが、これからの賃貸経営のコツである。消費者重視とは、お客様を大事にすると同時に条件や設備でよくしてあげることなのである。

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