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申請も検査も形だけの「特例」

2018年10月28日「日曜日」更新の日記

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建築基準法第一条には、「この法律は、建築物の(中略)最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」と記されています。家族の健康を害したり、近隣の健康的な生活を妨げたり、住宅の欠陥によって財産を失ったりすることがないように、建物の高さや容積、採光その他に細かい法的基準を設けているわけです。しかし現実には、この『最低の基準』すら守らない「違法建築物」が多く存在します。いったいなぜでしょうか?どんな住宅でも、建てる前に必ず申請する義務があます。図面と書類の段階で行政のチェックを受け、問題がなければ「建築確認通知書」が来ます。その後、工事を行い、工事の要所要所でチェックし、完成した時点でミスや手抜きはないか、再度チェック。検査にパスすれば「検査済証」が交付されます。これによって、違法建築は防止されるはずでした。しかし一九八四年(昭和五十九年)の法改正により、確認申請にも検査にも「特例」が認められることになったのです。その特例とは、住宅の設計や施工監理に関わった建築士が、行政の代わりに確認すればいいというもの。完成後のチェックも同様で、「検査済証」は迦知一本で簡単に交付されるようになったのです。<ケース20>初めてマイホームを建てる多田洋一さん(三十五歳)は、「よく広告し、知られているハウスメーカーなら安心」と信じきっていました。たまたま現場付近に住む建築会社へ務めている知人と道で会い、軽い気持ちで現場を見に行きました。そこで発覚したのが、手抜きの数々。壁と壁の間に数ミリのすき聞かあり、ジョイント部分にあるはずの接合金具もなし。その知人の指摘がなく、このまま壁紙が貼られていたら……と想像すると、ぞっとします。あとで知った話ですが、ここは長年営業所ぐるみで手抜き工事を行ってきたらしく、被害者は他にもたくさんいるとか。施工もいい加減な下請け業者にまかせっきりというではありませんか。検査にしてもしよせんメーカー側の建築士が行うわけですから、いくらでもゴマかせたわけです。改正されたこの制度のおかげて、最低限の安心や安全を保証する「確認通知書」「検査済証」が形ばかりのものになってしまったことは、消費者にとっては非常に困った問題です。確認通知書の欄に特例「有」という記載があったら、業者にどういうことか確認しましょう。

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