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ウラを読む

2018年12月10日「月曜日」更新の日記

2018-12-10の日記のIMAGE
折り込みチラシや販売用のパンフレットを眺めていると、どれもこれも素晴らしいうたい文句と写真で飾られていて、つい心を動かされるものです。モデルルームを訪れても、営業マンの説明を受けても、その印象は変わらず、ますます欲しくなるということもあるでしょう。しかし、一つ心に留めておいてほしいのは、売る側は決して自分たちに都合の悪い情報は提供しないということ。つまり、与えられている情報の他に、あるいはそのウラに見るべきものが隠されている場合もあるということです。例えば、マンションの広告には価格帯表示が出ていますが、すべての価格は記載できないので「最多価格帯」で表示する広告がほとんどです。これが低い価格に設定されていると買い求めやすいイメージができるわけです。ところが、販売センターを訪れて説明を聞くうちに、確かに最多価格帯の表示に間違いはないけれど、それらの物件はあまり魅力的ではなかった、ということが往々にしてあります。逆に、そんなときに予算オーバーの物件を薦められて、つい登録してしまうケースが多いようです。また、貯金がほとんどない人にとって「頭金ゼロでもOK」のうたい文句は魅力です。通常、住宅ロ-ンの上限は物件価格の八十%とされていますが、景気の低迷が長く続いていることもあり、平成十年度から住宅金融公庫はこの八十%の枠を臨時的になくしています。ですから「頭金ゼロ」はあり得ない話ではありません。しかし、冷静に考えればわかるように、たくさん借りればそれだけたくさん利子も付くわけですから、得をするわけではないのです。ところが、営業マンに「あなたの収入なら十分払えます」「このくらいのローンは普通ですよ」と試算表片手にいわれると、少々迷いがあっても「大丈夫かな」と、ついその気になってしまうところが恐いのです。他にも、修繕積立金(毎月一定額を積み立てる共用部分のメンテナンス費用)や管理費(マンション管理会社へ支払う費用)が安いという物件にも要注意。修繕積立金はきちんとした長期修繕計画に則って算出された額が目安で、さもないと、後で思わぬ額の一時金を払うことにもなりかねません。管理費も安ければ、それだけ管理の手を抜くことに通じます。このように、売る側は、少しでもあなたの気を惹くために、何かしら魅力的な要素を打ち出してくるもの。格安な積立金・管理費も、売るための方策なのです。特に、販売する物件に弱点や問題が潜んでいる場合、売り手としては何か「特典」をつけて売りやすくしようと考えるのが普通です。そうした売る側のウラを読むには、できるだけ多くの物件を見て見る目を養うこと、「うまい話にはウラがある」と疑ってかかる心構えが大切なのです。

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