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管理組合役員の守秘義務

2019年2月16日「土曜日」更新の日記

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Q、マンションの管理組合の役員をしていますが、さまざまな業者や個人から、特定の区分所有者の連絡先を教えてほしい、または、区分所有者の管理費の振込先を教えてほしいなどの電話がかかってきます。先日は興信所のようなところから人が尋ねてきて、特定の区分所有者に関してさまざまなことを聞かれました。管理組合の役員をしていれば、自分のマンションの区分所有者に関してある程度の情報は入ってきます。役員の中には問合わせなどなくても、噂話のようにしてマンション内に広めて歩いている人もいるようです。管理組合の役員として知った区分所有者に関する情報について、何か守秘義務のようなものはないのでしょうか。区分所有法の条文は読んでみましたが、そのような条文は見当たりませんでした。守秘義務があるとすれば、違反した場合にはどのような罰則があるのでしょうか。また、税務署などからの問合わせに対しても、守秘義務を主張して開示を拒むことができるのでしょうか。A、区分所有法28条は、管理者の権利義務に関して民法の委任の規定に従う旨を定めています。そして民法644条は委任を受けた受任者の善管注意義務を定めており、この規定は管理組合の役員に適用されます。善管注意義務には、職務上知り得た秘密を正当な理由なしに外部に漏らしてはならないという守秘義務も含まれると考えられています。したがって、外部からの問合わせに対して、正当な理由なしに区分所有者の連絡先や銀行口座などの個人情報を開示することはこの義務に違反することになり、損害賠償の対象となります。ただし、「正当な理由」がある場合には違反にはなりません。たとえば裁判の証人として証言を求められた場合や、税務署など公務署からの調査・照会を受けた場合などがこれにあたります。また、区分所有者が区分所有権を売りに出した場合に、仲介業者や売買の相手方から管理費や修繕積立金の滞納状況についての問合わせが来ることがあります。売主が滞納していた場合には、区分所有法8条により、買い主は管理組合から請求を受けることがありますから、このような問合わせは、仲介業者や買い主にしてみれば正当な権利行使となります。このような情報の開示は適法といえます。もっともこの場合でも売り主に、開示する旨を伝えたうえで開示すべきです。

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