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資産価値から利用価値へ意識を転換

2019年2月23日「土曜日」更新の日記

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高度成長の時代、マイホームは庶民が手にすることができる最大の「資産」だった。いざというとき、売りに出せば数千万円単位の現金を手に入れることができるし、ある日、黒塗りの車で乗り付けた体格のいいサラリーマンが100万円の束を山積みし、両手をついて「ぜひ、あなたの家を売ってください」と頼みに来るかもしれない。そういう「資産」だった。しかし今は、買ってから数年後に売りに出すと、買ったときより値段が下がって当然のものになってしまった。そこで、「不動産はもはや、資産価値ではなく、利用価値で選ぶ時代」とされる。これはどういうことかというと……。○資産価値ではなく=買ってから何年か後に売却しても、現金を儲けることはできない。○利用価値で選ぶ・売却したときに値段が下がっても、下がった分は快適に暮らせたことの対価と考える。だから満足度の高い家に住むべきだ。例えば、会社勤めをしている間、会社から歩ける距離のマンション(新築時5000万円)に住んでいた人がいるとしよう。住戸は狭く、窓を開けると騒音や車の排気ガスが飛び込んでくるマンションだったが、とにかく会社に近いのが魅力だった。そこに10年間住み、売却したら4000万円にしかならなかった。その場合、単純に考えて1000万円の損。1年あたりで100万円の損だ。しかし、この「損」を、利用代金と考えたらどうだろう。便利な都心のマンションを1年あたり100万円で利用できたことになる。同じ場所に賃貸マンションを借りた場合、家賃はその1.8倍になるとしたら……。年間で180万円の家賃を払わなければならない。「年間の家賃180万円を払っても、その場所に住みたい」と思う人にとって、「年間100万円の出費で済んだマンション」は、1年あたり80万円の儲けで、10年間で800万円の儲けになるわけだ。つまり、5000万円で買ったマンションを10年後に4000万円で売っても損ではなく、800万円得したことになる――と、このように考えることができる家を買いましょうということである。ここでいう利用価値は、そのときどきで変わる。会社勤めしているときは、会社に近いマンションの利用価値が高い。が、退職したら、その利用価値は失われる。幼なじみがたくさん住んでいる地方都市のマンションのほうが利用価値は高くなったり、趣味の釣りが楽しめる海辺のマンションの利用価値が高くなったりするからだ。人生の節目ごとに、満足度の高い場所に住む。それができた人は儲けが多く、満足度の低い家にしがみついている人は損が多くなる。今はそう考えるべき時代なのだ。

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