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所有欲はもともと人間に備わった性

2019年4月26日「金曜日」更新の日記

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人は合理的な計算だけでは生きられません。計算では賃貸が有利であることを理解できても、やはり自分の家が欲しい、という所有欲はもともと人間に備わった性なのかもしれません。一方で賃貸にも様々なリスクがあります。いつ家主から退去を迫られるか。自分の好きなように部屋の模様替えができない。共用部が汚れてきても、ケチな家主だと修繕もろくにしてくれない。など不安は尽きないものです。もともとが農耕民族である日本人にはやはり、自分の館を構えて安心したいという気持ちが強い面もあります。それならば、所有しようとしている対象のマンションについて、じっくりと考えて買うことです。なぜなら、相手は新築時点で3割もの余分なコストを背負っているうえに、分譲後は少なくとも、7年から8年にわたって、価値が下がり続ける対象なのです。「買ったら、絶対に下がりまっせ」と言われて、株式や金融商品を買う人はいません。逆に賢い投資家なら、その銘柄についてよく研究したうえで底値になったら買おうと考えるはずです。これがなぜ、住宅、あこがれのマンション購入になると、今までの理性や冷静な判断力はどこかに消し飛び、我さきに大金をはたいて新築マンションを買ってしまうのでしょうか。先ほど登場した中古マンションのベテラン営業マンの説を借りるならば、築7年から8年たった中古マンションを「底値」で買うことが、最も賢いマンション購入なのかもしれません。職業柄、投資用マンションを購入されるお客様のアドバイザーを務めることがありますが、お客様も投資用となると、結構冷静にいろいろな計算をして物件を選んでくださいます。それなのに、同じお客様でも自宅を選ぶ段階になると、理性を失ってしまい、何かにせっつかれるように新築マンションに手を出されてしまう。これも不思議な現象です。また、自宅用マンションを買われるのに、「どこのマンションが値上がりするかね」などと相変らず、すでに錆ついてしまった「昔の方程式」を持ち出すお客様もいらっしやいます。新築マンションには、このように普段の計算とは違うハレの部分があるのかもしれません。ただ、ハレの部分は所有が実現した瞬間から消えてしまいます。中古マンションになるからです。一方で中古マンション価格は、ハレの部分がないだけ、そのマンションの持つ本当の価値を表している価格とも言えます。いわば、中古マンション価格は実際にマンションに住むという、効用を数値化した「効用価値」に値するものとも言い換えることができるかもしれません。 

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