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家主のビル新築で一時退去するが注意すべき点は②

2019年6月17日「月曜日」更新の日記

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新しくビルが建ったら貸すという契約書をタテにして、第二者である入居者を追い払うことはできません。このような結果を防ぐために、一〇〇パーセント完璧な方法というものはありません。しかし次善の策としてつぎのような方法が考えられます。まず、新しいビルの一部である店舗についての貨貸借の予約契約を、平面図でその店舗の場所を特定して、公正証書で締結しておくことです。なぜ公正証書にするか、というと、これは契約書の証明力を確実なものにするためです。同時に、新しいビルについての賃貸借契約の条件も公正証書の中で定めておけば、新ビルについて、保証金や敷金、賃料など思いがけない高額な金銭を吹っかけられる心配もなくなるでしょう。また、公正証書の中で、ビルが完成したら当然に、当事者間において何らの意思表示がなくとも、建物貨貸借契約が発効する、という条項(正確には始期付賃貸借契約というべきでしょう)も加えておくのがよいでしょう。さらに、家主が約束を破って自分に有利な条件で第三者に貸すことを心理的に抑制するため、不履行をしたら、ぱく大な損害賠償金を支払わねぱならないという、賠償額の予定もしておくことです(民法四二〇条一項)。つぎに打つ手は、建物完成時をねらってすぐ入居の交渉にいくことです。このとき、家主が言を左右にして入居をしぶるような行為に出たり、あるいは、ひそかに第三者を入れようと画策していることがわかったら、目的の店舗部分が空いているうちに、仮処分を裁判所に申請することです。つまり、家主を相手方として自分が借りる約束をした店舗部分について、占有移転禁止の仮処分命令を裁判所からもらい。執行官を現場に連れていって執行してもらいます。こうしておけば、仮りに第二者が仮処分を無視して入居しても、あとで本訴の勝訴判決をもとに追い払うことができます。

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