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借家契約の期限のあるなしで解約の際違いがあるか

2019年6月18日「火曜日」更新の日記

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借家契約に期限がある場合とない場合では、解約のとき大きな違いがあると聞いていますが、どのように違いますか。また、家賃を取らずに家屋を一年の約束で貸しています。期限が来れば明け渡してもらえるでしょうか。借家契約の場合、期限の定めのある場合と、ない場合とがあり、どちらが多いか一概にいえませんが、借地契約の場合に比較すれば期限の定めのない場合が多いのではないかと思います。しかし最近では、一応期限を定めて賃貸する例がかなり多いと思います。さて、期限の定めがない場合は、いつまでも借りていることができると早のみ込みしてはいけません。期限の定めがない契約は、貸主においていつでも解約することができるのです。しかし、つぎに述べる点を考えてみなければなりません。借家法一条ノ二、借地借家法二八条(解約の制限)がそれです。すなわち、期限の定めがない借家契約において貸主が解約するためには、貸主においてその建物を使用することを必要とする場合とか、その他いわゆる「正当の事由」がなければなりません。そして、解約の方法としては、六か月前に解約の意思表示をしなければならないことになっています(借家法三条、借地借家法二七条)。つぎに期限の定めがある場合です。一応期限の定めがあるので、貸主としてはこの期限内は借主に家屋を使用させる義務があるわけで、問題は期限到来の際にどうなるかという点です。借家法二条、借地借家法二六条によれば、貸主が更新を拒絶しようとする場合は、期間満了の一年前から六ヵ月前までの間に借主にその意思を表示しておかなければなりません。そしてまた、更新拒絶の意思表示の結果、契約を終了させるためには、期限の定めのない契約の解約の申入れと同じように「正当の事由」がなければならないとされているのです(借家法一条ノニ、借地借家法二八条)。こうしてみると、借家契約に期限の定めがある場合も、ない場合も、契約を終わらせるためには、自己使用またはその他の正当の事由が要求されるわけで、明渡しを受けるということはなかなか難しいということになります。この点について、新しい借地借家法二八条は、正当事由を明確化し、いわゆる立退料を提供して明渡しを求める場合も、正当事由の一つの場合として考慮することになったことに注意する必要があります。おたずねの場合、あなたは賃料をとらないで無償で貸しているのですから、賃貸借ではなくて使用賃借です。だとすれば、借家法、借地借家法の適用がないことになり、その結果期限の到来によって、借主は家屋を明け渡さなければなりません(民法五九七条)

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