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一回の家賃滞納で契約解除という和解の効力は

2019年6月23日「日曜日」更新の日記

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借家契約を更新するとき、家主側の要求で簡易裁判所に出頭して「即決和解」にしました。ところが和解条項中には「一回でも家賃を滞納すれば家主は契約を解除することができる」という条項があります。和解の際は「家賃を滞納するほどカネに困るはずはない」と思っていたのですが、よく考えてみると、うっかり期限を過ごしてしまうこともあるので、この条項では気が安まりません。借家契約で家賃滞納による契約解除については、①催促なしに、いきなり解除通知を出すだけで解除できる、という約束は有効ですが、②概して三か月以上の滞納を条件としなければならない、というのが現在の常識です。ところが、これはあくまで通常の契約(公正証書も含む)で約定される場合の話で、即決和解や、裁判中に成立した裁判上の和解では同じに考えることはできません。なるほど、裁判所が関与する和解もその本質は契約にちがいありません。しかし、裁判所が承認した和解条項が法律に違反するから無効だというのは理屈に合わないし、また、裁判所が作成する文書である和解調書は、判決文と同じく、言葉の通常の意味で解釈するのが鉄則です。なぜなら、その和解調書に決められた条件(たとえば一回分の滞納)がととのえば、直ちに執行官に申し立てて立退きの強制執行ができる点で、和解調書と判決文の効力はまったく同じだからです。

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