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賃貸借契約を公正証書にするとどれだけ有利か

2019年6月25日「火曜日」更新の日記

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家を賃貸するのに契約を公正証書にしておいた方がよいと聞いておりますが、費用をかけてまで、そうすべき価値があるのでしょうか。また、どんな場合に公正証書が役に立つのでしょうか。これらについて教えてください。賃貸借契約を公正証書にしておけば借主が賃料、損害金などの金銭債務の支払いを怠った際に、裁判をしないですぐ強制執行できる点で便利です。また、もし後日、契約の内容が争われたとしても、契約書が偽造された、貸主が後日勝手に内容を書き加えたなどという言い逃れができなくなりますし、公正証書の原本は、公証役場に厳重に保存されるので、契約書を紛失して困ったなどということがなくて安全です。しかも、通常の賃貸借契約の公正証書は、代理人を頼まなくても素人でも比較的楽にでき、費用も大したことはありません。しかし、公正証書では、借主が金銭債務の支払いを怠った場合には強制執行ができる(民事執行法二二条五号)けれども、借主が契約終了後も家屋の明渡しを履行しないときは、家屋明渡しの強制執行をすることはできませんから、注意してください。家屋の明渡しの強制執行のことだけを念頭において公正証書を作成しようというつもりなら、あてがはずれることになります。そのため、賃料不払いの事故が生じて、その後の支払いに、不安があるような場合のほか、建物の賃貸借では公正証書を作らないのが普通です。ちなみに、土地の賃貸借で更新の生じない定期借地権を設定する場合には必ず公正証書によって契約しなければならないことがあります(借地借家法二四条・事業用借地権)。

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