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家を一時的に貸し確実に明け渡させる方法はあるか

2019年6月26日「水曜日」更新の日記

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私は家を貸してくれと申し込まれています。しかし、家には目下大学に在学している息子がおり、息子が卒業して結婚した時にはこの家に住まわせたいと計画を立てています。また、いったん貸してしまうと、借主の権利が強くなり、息子央婦が入るにしても、立退料を出さなければならないと聞いています。多少の立退料はやむを得ないとしても、そんなに多く出すわけにもいきませんが、よい貸し方はないものでしょうか。「一時賃貸借」にすればよいとも聞きましたが本当でしょうか。おたずねのとおり、「一時賃貸借」ということであれば借地借家法の適用はありませんが、息子さんが結婚するまでとの条件が「一時賃貸借」になるかどうかむずかしい問題です。なお、下級裁判所の裁判例では、これを否定しています(岐阜地裁大垣支部判決・昭和二八・三・五)。しかし、契約時に息子さんの結婚までとの条件をつけるのは、相手方の任意の履行を期待する上で決して無駄ではないので、契約書を交わすときはっきりその旨をうたうとよいでしょう。また「借地借家法」は確かに借主を保護する法律ですが、どんな場合でも借主が保護されるわけではなく、貸主の側に明渡しを求める正当な事由があれば賃借権の更新拒絶、または解約を認めていますから、借地借家法が適用されるとしても、息子夫婦を入居させるということがその正当事由に当たるとして、結局、明渡請求を認められることはありえます。先程の岐阜地裁大垣支部の判決も「一時賃貸借」の成立は否定するものの、家主からの解約の「正当事由」は認めています。「立退料」支払いを条件にして、明け渡してもらう方法も、一般的によく行われています。これは、場合によっては正当事由を補完する意味をもつとされる金銭給付で、都会地では慣習としても、一般に授受されております。立退料の額として、いくらぐらい払うかですが、現在と同程度の家を借りる際の敷金、権利金、家賃の差額などのほかに、引越料などを支払う場合が多いようです。また、他に、敷金、権利金を取るのをやめておき(そうすれば、立退料支払いの時にこれを考慮しないですむでしょう)、家賃も多少低めに決めておくと、立退料を支払う場合に、あるいは「正当事由」の判断の際に、有利な資料となるとされています。なお、借地借家法は場合を限って一定期間後に必ず明け渡す期限付賃貸借を認めています。

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