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店を臨時に貸す場合法的急所はどんなものか

2019年6月27日「木曜日」更新の日記

2019-06-27の日記のIMAGE
私の主入は小さな書店をやっていましたが、最近ちょっと体が悪くなリ人院することになりました。知合いの夫婦が、それでは住込みで自分たちに書店をやらせてくれといってきました。もちろん賃料で生活していきたいのですが、主入が回復したらもういちど書店を続けたいのです。ご夫婦に住込みで貸してもよいでしょうか。微妙な問題です。あなたとそのご夫婦の契約の取り決め方いかんにかかわります。一般的にいえば、営業上の委任よりも建物使用の目的が主になっている場合、あるいは、営業の委任(使用)の関係を切り離して、それとは別に建物の貸借が認められる場合などは、まず借地借家法が適用になるでしょう。そこで、この基準をもう少し具体的に置きかえてみましょう。あなたは「賃料で生活していきたい」とのことですから、毎月定額を賃借人から受け取ることを考えているのでしょう。ところが、書店の収支には月々変動があるでしょうし、時には赤字になることも考えられます。それでも月々定額の賃料は受け取ることになると、営業の計算はすべて貨借人の責任でされることになります。これでは建物の使用目的が主であると認定され、明渡しに「正当事由」が要求されます。契約書を作るときに、病気回復までという条件をつけて、「一時使用」の契約だから借地借家法の適用がないと頑張ることも考えられますが、不確定期限または条件つきの貸借は、裁判例からすると、ほとんど一時使用契約とは認められていません。いうまでもなく病気回復となると、回復するのか、またその時期はいつ、ということになって、不確定な条件、期限と判断されてしまい、頑張っても駄目でしょう。そこで、書店の営業、すなわち、取次店への支払い、利益の計算、必要経費の出費、税金の支払い、経営方針など、すべてあなたが責任を持つことにし、そのご夫婦には日常の業務だけを任せ、月給を支払うというような、早くいえば、住込み店員のような立場にして、契約されることが一番です。この場合には、借地借家法の適用を免れることもでき、明渡しも簡単でしょう。

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