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不動産の譲渡は生前か?相続開始後か?

2019年10月23日「水曜日」更新の日記

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手取額が少しでも多くなるようにと願い、税制を活用したいのは人の常です。とはいうものの、生前では1人の考えで決まりますが、相続が開始されれば1人のものでなく相続人全員が関係します。生前と相続開始後のどちらが得かとの問いには、その前提として、価値も変わらずトラブルもなく、税制も変わらないとして比較するしかないのですが、現実問題としては「お答えできない」というのが実情です。したがって、土地の売却価格の動向しだいであり、改正されるかわからない税制よりも、譲渡する目的、代金の使途しだいで判断した方が賢明といえます。(1)税制では相続開始後に配慮がある①取得費加算相続税の申告期限の翌日から3年以内に相続財産を譲渡した場合に限り、譲渡所得の計算において、その取得費に当人が負担した相続税額のうち所定の額を加算することができます。株式などは売却する株式にかかる相続税額が、不動産の売却はその相続人が取得した不動産全部(物納部分を除く)にかかる相続税額がすべて取得費に加算されます。しかし、この特例は生前の譲渡にはありません。②その他の検討事項生前に売却した場合、他の不動産において小規模宅地等の課税価格の特例が上手に選択できるかを予想し比較します。売却が納税資金のためなら物納も比較して検討することになりますが、物納できればキャピタルゲインは非課税となり、物納のための測点費等の諸経費ですから必要経費として他の所得から控除できません。売却する場合の測量費等の諸経費は譲渡のための経費として所得の計算において控除します。超過物納、つまり物納として収納される部分を超える部分は還付されますが、国への譲渡となり軽減税率による譲渡所得課税を受けます。したがって、物納を許可されるかの見極めがとても大切です。延納申請しながら売却により納付する場合は利子税を考える必要があります。申告期限までに納税のため急いで売るようにあせりますと、足元を見られ売急ぎの値段しかつきません。

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