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使用貸借の場合の課税の取扱い

2019年10月25日「金曜日」更新の日記

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たとえば、親の土地の上に子が建物を建てるために親子で土地の使用貸借契約を結び、権利金や地代の授受がないケースです。建物の所有を目的とすることから借地権と似ていますが、使用している権利は無償性から借地権に比べ極めて少ないながらも経済的価値があるでしょう。しかし税務ではその価値は「ゼ口」として取り扱われます。地代の授受がない限り所得としても認識されません。対象の土地は子どもが借地権をもらったわけではないので、相続開始時は自用地として評価されることになり、相続が開始しても評価は下がりません。使用貸借した宅地の上に子がアパートを建てても、宅地の評価は貸家建付地ではなく自用地となります。これについては、土地を借りている者の土地に対する権利がないからと説明されています。親の宅地に建物を建て借地契約をし地代として通常の39%を支払った事案において、権利金の授受がなく地代として低い水準であり、地代以上の生活費等の名目で親が資金負担・贈与をしていることから、支払っていた地代を土地の対価と認めず自用地として評価された事例があります。また、親が所有する借地権の底地を子が購入した場合に地代の支払いがなくなると、以前の借地権は消滅し新たに使用貸借が開始したという考えから、子は親から借地権の贈与を受けたものとして取り扱われます。ただし、親(借地権者)と子(底地取得者)が連署による「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を税務署長に提出すると、その贈与はなかったものとして取り扱われ、親が死亡した時は借地権相当が相続財産となります。(3)相続時の対応、使用貸借は難しい!被相続人と同居していた相続人が、被相続人の相続開始後も引き続きその家屋・敷地を占有する場合、同居相続人は被相続人の許諾を得て同居していることから、遺産分割が成立しその家屋の所有者が確定するまでの間は被相続人との無償で使用させる旨の使用貸借契約にあると推認することが合理的とされ、その間は明渡しを求めることができません。遺言者が建物を所有し子が占有していたが、遺言者の死亡により配偶者が取得し明渡しと賃料相当の損害金の請求の訴えをした事案で、配偶者の明渡しのための価額弁償の申出を認め賃料相当の請求を棄却した事例があります。また、親の宅地に子が建築したが、子が先に死亡して親が子の配偶者に対し土地の明渡しを要求した事案で、親と子およびその配偶者とは使用貸借契約が成立していたとした事例があります。このように、一律の対応が取れるわけではないので専門家に相談することをお勧めします。

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