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「魔法の物件」など存在しない

2019年11月12日「火曜日」更新の日記

2019-11-12の日記のIMAGE
まだ築年数の浅い、木造貸住宅と出会ったことがありますが、この物件では居住者から管理会社に何度か、「室内にカビが生える。この強い湿気はなんとかならないか」とクレームが入っていました。ところが管理会社は、「きちんと換気してください。あなたの住み方の問題です」などと対応。居住者の訴えが、大家の耳に届くことはありませんでした。現実問題として、湿気は居住者の換気不足によるケースもたしかに多く、そのせいで初期段階でこういう対応をしてしまう管理会社もあるのです。しかし、この部屋は違いました。管理会社にいわれたとおりに換気をしても、室内にカビがどんどん発生し、異常な状態に。業を煮やした入居者は、ついに管理会社に怒鳴り込んでいきました。ようやくのことで管理会社が部屋の確認に行ったところ、あちこちに発生するカビと、ひどい臭いで咳き込むほどの惨状。報告を受けた大家は、困り果てて「さくら事務所」にホームインスペクション(住宅診断)を依頼してきました。診断したところ、木造の土台部分にカビがびっしり生えています。一部では、すでに腐食も始まっています。そうとう費用がかかる、大掛かりな修繕工事が必要な状態です。まだ築浅の物件なのに、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。詳しく調べたところ、原因はすぐにわかりました。じつはユニットバスの配水管の接続が甘く、そこから少しずつ、本当に少しずつ、排水が漏れ出していたのです。床下がここまでカビたり、腐食するまでには長い時間がかかります。少なくとも年に1回くらがい床下を点検していれば、大規模な工事が必要になるような事態は防たはずです。仮に問題のない理想的な物件を手に入れられたとしても、このようもに、その後の点検・メンテナンスを怠れば、取り返しのつかないトラふブルにつながってしまうこともあるのです。想定した利回りが吹き飛ぶほど修繕にお金がかかるだけでなく、多大な時間と労力も必要になって、不動産投資がまったく無意味だったことにもなってしまうので手に入れるだけで、たちまち自分の人生を永遠にすばらしいものにしてくれる「魔法の物件」"など、どこにも存在しないのです。

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