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借家人から権利金を受け取らないほうが無難か

2019年12月11日「水曜日」更新の日記

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マンションの一室を居住用に賃貸しようと思います。契約するに当たっては、借家人から権利金をもらわないほうが、将来の賃料値上げや明渡し請求を考えた場合、有利でしょうか。■権利金をもらっても家主が不利になることはないマンションの一室を居住用として賃貸する場合、東京周辺なら賃料の一?二カ月分程度を礼金という名目で受領するのが一般的です。これは、「礼金」といっていてもその実質は権利金というべきものです。このぐらいの権利金をもらわなかったからといって明渡しのときに家主が有利になるということはありません。まず、ほとんど考慮されないと思われます。逆に、権利金をもらったからといって家主が不利になることもありません。権利金(礼金)をもらわないことにより、その分を毎月の賃料に上乗せして徴収することがありますが、それは借家人との話合いによって決まります。借家人が外国人や外資系企業などですと、権利金や礼金を授受しない代わりに、賃料を少し高めに設定してもよいという合意ができることもあるようです(欧米には礼金という概念がないようです)。■多額の権利金は賃料の前払いとみなされることがあるただし、将来の賃料値上げについては、権利金を受け取ったか受け取らなかったかが影響を及ぼすことがあります。権利金をもらわなかったからといって家賃の値上げがいつもスムーズにいくということはありえないのですが、多額の権利金の授受があった場合には、賃料の前払いとみなされることがあります。多額の賃料の前払いであったとされると、一定の期間家賃の増額をしない特約をしたものとみなされ、賃料値上げを求める調停(狐ページ参照)にも考慮されることがあります。家主が賃料値上げ訴訟詞ページ参照)を起こしても敗訴する可能性がでてきます。また、多額の保証金や敷金等の授受があった場合には、家主にその運用益(利息)が生じていますから、それも継続賃料の増額を抑える要因となります。しかし、権利金をもらっていたら賃料の値上げができなくて、権利金をもらっていなければ容易に値上げができるというものでもありません。東京周辺の慣行である月額賃料の一?二ヵ月分程度の権利金なら、その授受の有無は賃料値上げの可否とは直結しませんので、もらえるものはもらっておいたほうがよいと思われます。

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