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定期借地権の評価(1)

2020年1月2日「木曜日」更新の日記

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定期借地権を設定するとき、権利金や保証金はいくらぐらい授受するのが妥当なのだろうか。また、地代はどのくらいに定めるのが適当なのだろうか。定期借地権は、前項で述べたように、契約期間が満了したら、地主に土地が返還されるという点で、普通借地権とは大きく異なっている。したがって、その質料や価格も大きく違ってくるはずであり、評価方法も異なってくる。定期借地権の評価方法について、現在のところ、諸説紛々としていて、確たる定説は確立していない。といって、この問題を頬被りして逃げてしまうのも、読者に対して無責任・不親切ということになるし、とりあえず、筆者の検討したところを述べておく。もっとも、筆者としても十分な結論を得ているわけではなく、かなり未熟な段階であることを自覚している。さらに検討を加え、いずれかの時点で、ある程度まとまったものを発表したいと思っている。定期借地権は、普通借地権と大きく異なっているとはいえ、借地権という枠では、同じ性格をもっている。普通借地権についても,その権利価額が明確になってきたのは,旧借地法制定によって,地代の値上げが抑制されて,借地人にいわゆる「借り得部分」が生じ,また,法定更新制度等によって,その存続が保証されるようになって,その保証された経済的利益に着目して,借地権の取引が普及し,地域ごとの取引価額また,更地価額に対する割合が普及していくという過程を通じてであった。また,反面,地主側でも,普通借地権を設定するにあたり,この取引価額を参考として権利金を収受するようになり,また,借地の返還にあたり消滅の対価を払うようになった。このようにして普通借地権の価額は形成され、定着していった。定期借地権は、創設されたばかりであり、その地代も地域および契約内容の需給関係で定められており、その場合には、借地人に帰属する経済的利益(借り得部分)は生じない。したがって、この経済的利益に着目して行われる定期借地権の取引(借地人から第三者への有償譲渡など)はいまだあまり行われていない。したがって、そういう意味での定期借地権価額は、いまだ形成されていないといえよう。

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