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設定権利金と法人税の特別課税

2020年1月16日「木曜日」更新の日記

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法人税では、借地権の設定にあたって、地価の下落割合が2分の1を超えると、土地等の譲渡として、通常の法人税のほかに特別課税がなされる。定期借地権の設定に際して、権利金を取る場合、これまでの例だと、地価の2割から多くて3割ぐらいであり、したがって、個人地主については、不動産所得に分類され、臨時所得の平均課税の適用を受けられるとはいえ、一時にかなり多額の税金が課せられることになる。これを嫌って、権利金ではなく、同額程度の保証金を取るケースが一般化してきている。そして、その保証金が無利子または低利子の場合には、普通借地権の場合と同様に、「借地権と特別の経済的利益」、特別の経済的利益を計算し、この額が更地価格の一を超えるときは、譲渡所得の収入金額とされる(個人・会社とも同様である)。しかし、定期借地権の設定で収受される保証金の額は、譲渡所得に該当しないときの保証金の取扱い。通常は更地価格の2~3割程度ぐらいまでであるから、その特別の経済的利益の額が、更地価格の一を超えることはなく、したがって譲渡所得に該当することは、まず、ないだろう。そして、そういう場合の税務の取扱いは、次のようになっている。この取扱いの基本的な考え方として次のようなものがある。保証金というものは、借地期間が満了して土地の返還を受けるときには返還をするものであるから、保証金そのものが課税対象となるものではない。しかし、無利子の保証金を預かれば、借地期間中は、その保証金を運用して利益をあげることができる。少なくとも、保証金と同額の借入金をしないで済むのだから、借入金をした場合の利子相当分だけの消極的な利益が生じていることになる。したがって、そういう利益を、毎年の所得税の対象として課税するという考え方である。もっとも、その保証金を預貯金などすれば、その利子を受け取るときに源泉分離課税の対象として源泉徴収される。これで、保証金を預かったことによって生じた利益に対する課税はなされるので、こういう場合には、これで終わりである。こういうように、その運用によって運用益が確実に発生し、そして、その運用益に対し必ず課税されるもの――預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託などの金融資産として運用される場合には、それに対する課税だけで、その他の課税は生じない。その他の場合は、まず、保証金に適正な利率を乗じた利息相当額(保証金による経済的利益の額)を毎年の不動産所得の収入金額として計上しなさいということになっている。なお、この適正な利率は、各年ごとの10年長期国債の平均利率(応募者利回りの利率)によることとし、平成13年分については1.2パーセントとされている。そして、その保証金が不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得の資金として運用されている場合―たとえば、その土地を貸すための敷地整備費、貸アパートの建築費・修繕費、他の事業の設備費や運転資金などとして使われている場合には、その金額に適正な利率を乗じた利息相当額を、それぞれの所得の必要経費として引きなさいということになっている。したがって、保証金の全額をこれらの資金にあてていれば、差引きゼロで、特別の課税関係は生じないことになる。それで、保証金を預貯金や事業資金などとして運用していない場合たとえば、自宅の改築やマイカーの購入資金や生活費などに充てていれば、不動産所得の収入金額として計上されただけで、その金額が課税対象として残るということになる。

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