HEYA JAM

トップ > 令和2年1月> 19日

個人と個人との土地の無償貸借と税務上の取扱い(2)

2020年1月19日「日曜日」更新の日記

2020-01-19の日記のIMAGE
問題が生ずるのは、権利金の授受される慣行のある地域で、権利金が授受されないで、建物や構築物の所有目的の賃貸借または地上権が設定された場合である。ところで、親子・親族間またはごく親しい者の間で土地を無償で貸して、これに家を建てさせることもよく見受けられる。これは、使用貸借にあたるもので、この場合、税務上は、権利金、地代の授受がなかったことをそのまま認めて、課税関係は一切生じないとしている。かつては、こういう場合も、地権の贈与があったとして、贈与税を課税していた時代があったが、現在は取扱いが変更されているので、安心して無償で貸し借りしてよい。ただ、親Aが死亡したとき、相続税の評価をするときは、この土地は借地権付でなく更地として評価される。ただし、子から親に少しでも地代を払ったりすると、土地の賃貸借ということになり、権利金の授受がないときは、借地権の贈与という問題が生じるので注意しなければならない。子が固定資産税相当額ぐらいを負担する程度なら、それは地代とはいえないので、贈与税の問題は生じない。つぎに、親Aが地主Cの土地を借地して、その上に親Aが自分の建物を建てて所有していたが、建物が古くなったので建て替えたい。親がかなり高齢で住宅ローンの借入れができなかったり、息子も一人前になって、建築資金の調達もできるようになったので、新築の家は息子Bの所有にしたいというようなことがよくある。すなわち、子Bは親Aから借地権の転貸を受けるのが一般的である。子Bが親Aから借地権の譲渡なり贈与を受ければいの形となるが、この場合、親Aに対する譲渡所得課税なり、子Bに対する贈与税の課税がおこるので、子Bは親Aから無償で、すなわち使用貸借で借地権の転貸を受けるようにすることが普通である(改築でなく、親Aの建物を子Bに贈与したときも同様である)。使用転貸借となり、一切の課税関係は生じない。そして、親Aが死亡したときの相続税の評価で、この借地権は転借地権がついていないものとして、すなわち、通常の借地権が残っているものとして評価されることも同様である。

このページの先頭へ