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会社の土地を社長に無償で貸したら(2)

2020年1月21日「火曜日」更新の日記

2020-01-21の日記のIMAGE
個人(借主)がその会社の社長、役員またはその一族である場合、その渡した金は、その社長や役員に対する賞与として取り扱われる。したがって、普通の賞与を支給するときと同じように、会社は、その社長や役員から源泉所得税を徴収して、それを一般の給料や賞与に関する源泉税と一緒に納付する。また、年末になったら年末調整し、社長等が給料以外の所得があるときは、翌年の確定申告時に他の所得と合算して申告することになる。そして、社長や役員に対する賞与は損金に算入されないから、その権利金相当分は会社の利益として残り、法人税の対象ともなって、社長等と会社とが二重に課税されることになる。会社から土地を無償で借り受けたのが一般の従業員である場合、同じように、会社は世間並みの権利金を受け取り、それと同じ金額の賞与を従業員に支給したことになる。したがって、従業員はその分だけ多く所得税を課せられることは、社長の場合と同様である。しかし、一般の従業員に対する賞与は会社の損金に計上することができる。会社は通常の権利金相当額をまず「益金」とし、それと同額を「損金」にする。「益金」と「損金」と同額であるから、差引きゼ口となる。したがって、会社に対しては、借地権に関して課税関係が生じることはない。この場合は、その従業員に対して、臨時賞与に対する所得税が課せられるだけである。では、会社と全く関係のない個人に、会社が無償で土地を貸したらどうなるだろうか。会社の経営者がまともであれば、そんなことは絶対ないはずである。一見なんの関係もないような場合でも、仔細に観察すれば、それは社長の恩師であるなど、社長がお世話になったり、また社長がお世話をしている人だったりするのが普通である。その場合は、社長に無償で借地させたのと同じ扱いになる。また、取引先の役員や従業員に無償で貸した場合、それは取引の延長として交際費になるか、場合によっては贈賄になることもあろう(交際費になれば、交際費の限度枠を超えたものは損金に算入されず課税対象になる)。この場合は、借りた人にとっては「雑所得」になる。しかし、本当に会社に無関係の個人に無償で借地させるということがあったとしたら、それは、その個人に対する寄附として取り扱われる。その場合、その個人にとっては、借地権相当額を会社から贈与されたということになる。そして、会社(法人)から個人に対する贈与は、その個人にとっては、所得税の上では「一時所得」となり、所得税の対象となる。会社にとっては、通常なら払ってもらえるであろう権利金相当額が、まず「益金」になる。そして、借地権相当額を、その個人に寄附したことになる。

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