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個人の土地を会社に無償で貸した場合

2020年1月24日「金曜日」更新の日記

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社長個人が、自分が主宰している同族会社に自分の個人の土地を無償で貸した場合はどうなるか。会社がその会社と関係のない第三者から土地を借りれば、通常は権利金を払わなければならないが、この場合はそれを払わないで借地権を設定することができ、その権利金だけ会社は利益を得たことになり、その利益は受贈益として会社で課税対象になる。貸した側の社長個人に対しては、課税関係は一切生じない。なお、会社が会社と全く関係のない個人から無償で借りた場合も同様である。社長個人が会社に土地を貸すにあたって、権利金を取らないかわりに、前項で説明した相当の地代を取ったときには、会社に対して権利金の認定課税はない。社長個人は実際に地代を受け取るわけであるから、その地代は不動産所得として課税の対象となる。なお、その地代は会社にとっては損金となるので、会社の法人税の課税対象はそれだけ減じることになる。したがって、会社で利益があがっていて、社長個人の税率と会社の税率とがほぼ同じであれば、ツーペイということになるが、会社が借地して貸ビルを建てたような場合、会社が相当の地代を支払うと、貸ビルの方は赤字であるのに、社長個人の不動産所得の方は大幅の黒字になって多額の所得税が課せられるということもある。これを避けたいのなら、後述する無償返還の届出制を利用することになる。社長個人が土地を会社に貸すにあたって、権利金も相当の地代も取らないときは、原則にもどって会社に権利金の認定課税がなされるが、この場合も、将来、借地権を無償で返還する契約をし、「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出すれば、権利金の認定課税は行われないようになっている。相当の地代についても特に認定課税をするということもない。ただ、結果として会社の方は支払わなかった「相当の地代」分だけ損金とならないわけであるから、それだけ会社の利益が増加し、法人税の課税対象も増えるという関係になる。しかし、会社が社長個人の土地を借りて貸ビルを建設し、当初は赤字という場合は、この方法はかなり有利に作用するであろう。そして、会社の側に借地権は発生していないのだから、将来、会社に貸した土地の返還を受けるとき、立退料などの借地権の消滅の対価を会社に支払う必要がない点でも、この方法はすっきりしている。

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