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土地を売って利益(譲渡所得)のあるときだけ、所得税が課せられる

2020年1月30日「木曜日」更新の日記

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土地を売れば、必ず税金をとられると思っ人が多い。しかし、税金は売ることについてかかってくるのではなく、売って利益がでてはじめて、その譲渡所得に対して課税されるのである。税金の中には、物を売れば、必ず課税される税金も、もちろんある。たとえば、酒税のように、酒蔵(酒の製造場)から外に出す(蔵出し)と、すなわちメーカーから卸し屋への酒の荷動き-販売をとらえて、メーカーに課税する税制もある(酒税法6条)。この場合は、メーカーが酒を製造して売って、利益をあげたか損をしたかということに関係ない。酒を醸造したということに目をつけて、近いうちに税金を課そうと待っている。そして、蔵出しというわかりやすい時期をとらえて課税する。日本は火山列島だけあって、いつ、どこで地震がおきてもおかしくないが、そのかわり、全国いたるところに温泉が湧き出している。日本人の温泉好きは世界一らしいが、温泉につかって利益をあげたわけではないが、1日につき150円の入湯税が課税される。もっとも、同じ浴場なら、1日24時間の間、何回入っても150円だから、それほど気にすることはないが、これは「入湯」という行為をとらえて、これに課税するということになっている。土地や建物を取得すると、不動産取得税が課税されるが、これは「取得」という行為に対し課税するものである。しかし、土地や建物を売却したときの譲渡所得税は、これらの税金と違って、「売却」したという行為に対して課されるのではない、土地や建物を売って、利益をあげたとき、その利益(譲渡所得)に課税する。だから、課税額の大小は、土地の売買代金の大小でなく、利益の大小による。したがって、土地を売っても、利益がなければ課税されないし、損が出れば税金を還付してもらえることもある。(譲渡収入)-{(取得費)+(譲渡費用)}=5,000万円-{6,000万円+150万円}=A1、150万円となり、1,150万円の損失を生じている。この場合は利益がないのだから課税されない。その人がサラリーマンで、毎月の給料から源泉徴収税をとられている場合は、税金を還付してもらえる。しかし、土地を売りさえすれば、必ず税金をとられるものと思いこんで、申告をしないで、やみくもに隠そうとしている人や、所定の手続きをすれば税金を返してもらえるのに、その手続きもとらないで、税金を還付してもらえる権利を放棄している人が意外にも多い。愚かしいことである。

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