管理人はだれ！？

2016年10月13日「木曜日」更新の日記

第二の現象として、新幹線通勤が定着するかという問題点がある。地価の高騰などによって、若い世代の持ち家が困難になった八六～八七年ごろ、当時の竹下内閣・石原慎太郎運輸相が新幹線通勤を提唱して以来、事あるごとにマスコミの話題を賑わすようになっている。すでに東海道新幹線三島駅圏、東北新幹線宇都宮駅圏、上越新幹線高崎駅圏などでは東京から進出した有力デベロッパーによってマンションや建売住宅の分譲が進行している。そして、九二年以降は東北新幹線白河Ｉ福島駅圏でも同様の現象が発生するのは確実である。また、新幹線に限らず、在来特急を利用できる福島県いわき市や、東京に近いにもかかわらずこれまで開発のエアポケットになっていた山梨県下の中央本線上野原～甲府にかけても建売住宅やマンションの供給が活況を呈すること間違いない。このような地域にも、新しいマイホーム取得動向が表面化してきた。福島県いわき市郊外で、東京の中堅デベロッパーである木下工務店が、約一五〇戸ほどの建売住宅団地の開発に乗り出した。最寄り駅は常磐特急の停車駅である泉駅からバスで約一五分の立地である。当然、東京通勤は不可能である。第一期の分譲価格は敷地が約二〇〇平方メートル、建物が一二〇平方メートルで三一〇〇万円前後だったが、購入者の顔触れをみて驚いた。第一期二〇戸のうち、地元福島在住者の購入は五戸しかない。残る一五戸は、東京、神奈川など首都圏在住者のサラリーマンなどで占められており、とくに非持ち家層の中高年層が目立った。この人たちの勤務先をみると、大手企業の事業所(工場など)である。いったい、福島県下に住宅を買って通勤はどうなるのかという疑問がクローズアップされてくるが、意外な展開を見せたのだ。会社は、本人が希望すれば福島県下の事業所に転勤させているのである。また、転勤を希望せず、家族だけを住まわせて、自分は定年までの二～三年間は勤務先の近くのアパートやワンルームマンションに住むという人もいた。某会社に勤務する人たちの顔も見えた。その他、いわき市にマイホームを取得したので地元に転職するという三〇～四〇歳代のサラリーマンもいた。中高年になって、まだ持ち家を取得していない理由はいろいろあり、個人の事情もあるだろう。限られた予算で、ある程度ゆとりのあるマイホームを持つには、首都圏の既存地域では無理であり、どうしても"脱首都圏"を図って、福島県下に着目せざるを得なくなってしまう。

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