管理人はだれ！？

2017年1月18日「水曜日」更新の日記

外壁を中心とする大規模な修繕工事を、「大規模修繕工事」とか「外壁等総合改修工事」とよんでいる。この工事は、マンションの保全行為のなかで名実ともに最大のもので、第一回目をいつ実施するかという問題は、管理組合にとって大きな課題である。財政上の事情が密接にからむが、建物の維持・保全の観点からこの問題に端的な答を出すとすれば、初年度入居から一二年前後に実施するのが適切であるといえる。一般的な傾向からすると、一〇年では少し早すぎるし、一五年では遅すぎる。いいかえると、一〇年頃までに建物の初期劣化現象が出そろい、一五年を過ぎると劣化が進行しすぎてしまうといっていいだろう。初年度入居から一〇年を経過すると、外壁を塗装吹きつけ仕上げにしている建物は、見た目にも傷んできた印象がする。一方、タイルで仕上げられている建物は、外観上はさほどの傷みが見られなくても、広範囲にわたってタイルに浮きが生じてくる場合がある。いずれにしても、大規模修繕工事は、外観上の問題より、コンクリート躯体の劣化補修に主眼をおいて実施しなければならない。コンクリート躯体に生じる劣化現象と、その進行は建物によって異なるが、初期のひびわれはおおむね三～四年くらいまでに出そろうと考えていい。これはコンクリートの初期乾燥が三～四年かかることと関係している。一方、もう一つの劣化現象である、コンクリートの中性化による鉄筋の露出は、七～八年頃から出はじめる。本来、ひびわれも鉄筋露出もあってはいけない現象であるが、残念ながら、ひびわれ、鉄筋の露出現象とも、一定量は建物に表出してくるのが標準的なマンションの現実といえる。大規模修繕工事は、これらのひびわれと鉄筋露出の発生傾向をみきわめたうえで実施することになる。ひびわれや鉄筋露出のていどによっては、一〇年で工事をするのがいい場合もあるし、一五年でもいいマンションがあることになる。一般に、コンクリート躯体とその上に塗られたモルタル層の劣化状態の補修工事を「躯体改修」とよんでいるが、躯体改修をしたうえで、外壁の化粧直しをするということを前提にしないと、建物の延命につながらない。外壁がタイルで仕上げられているマンションでは、後述するようにこの躯体改修の考え方がさらに重要になる。

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