管理人はだれ！？

2017年8月8日「火曜日」更新の日記

　家づくりは楽しい行為だ。買う気もないのに、新聞の折り込みちらしや不動産物件サイトを見て、こんな暮らし方をしたいとあれこれ夢想する人だっている。なのにいざ購入となると、中古住宅に二の足を踏む人は少なくない。なぜか。最大の要因はどんな瑕疵が隠れているか分からないことだろう。 　「記載事項と現状が異なる場合、現状を優先するものとする」。物件情報で必ずと言っていいほど目にする注意書きだが、「万が一不具合があっても、買い主の自己責任ですよ」では食指が伸びなくなるのも当然だろう。そもそも建築の目利きでない消費者に、内見だけの現状渡しで中古物件を買わせること自体が無茶なのだ。 住宅検査・インスペクションが注目されてきたのは、ある意味時代の必然だ。不動産流通時においては建物の価値を正しく判断し、査定や購入検討する際の根拠となる。リフォームでは、目標性能や費用を最適化するための一次資料となる。 　現状の問題点は、誰がそのインスペクションを行うのかが曖昧なことだ。中古住宅の売買時なら、本来売り主が建物の性能を示すために事前にインスペクションを行うとよいのだが、出費や隠れた瑕疵の出現を嫌ってそのまま市場に流れているのが現状だ。かといって購入検討者が自費でインスベクションを行うのも、リスクヘッジのためとはいえ大きな負担となる。だからこそ不動産業者やリフォーム事業者が、取引を円滑に進めるための仕組みをつくりあげなくてはならない。 インスペクションは目視中心の診断と、本格的な計測機器を使用した診断とに大別できるが、戸建て住宅のインスペクションのほとんどは目視を中心とした診断で対応できる。半日程度の診断の場合、費用は数万円～10万円程度が一般的で、このコストをどう吸収するかが鍵となろう。 　宅建業者惻の動きとしては、「インスベクション済み物件」として安心や保証をうたう物件の流通を開始し始めた。また、リフォーム事業者からは、購入後のリフォームを前提にインスベクションを行い、購入の判断やその後のリフォームプランをアドバイスするスキームが生まれている。他に、インスペクション付きの瑕疵担保責任保険も登場しており、宅建業者、リフォーム事業者が活用することで中古住宅の売買や自宅リフォームの活性化も期待できる。また昨今は被災リスク軽減のために、建物だけでなく地盤調査にも注目が集まっている。 　こうしたサービスの実現には、インスベクターを自社で育成したり、専門調査員（業者）との提携が考えられるが、大切なのは診断結米を正しく読み取り、顧客に代わって取得やリフォーム実施等をアドバイスできる判断スキルだ。

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