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新しい住宅危機

2018年3月5日「月曜日」更新の日記

2018-03-05の日記のIMAGE
 恐ろしいのは、ローンや家貨や税金の過重な負担だけではない。  1968年から83年の15年間に建築された住宅は約1200万戸、その一方で同じ期間に1100万戸の住宅が滅失している。 新築に対して約半分であり、これは驚くべき数字である。 なぜ家が壊され、消えていってしまうのか。 その理由は、風水害・火災などの「災害」、「老朽」、そして道路建設・都市再開発などのためだ。 特に最後の「都市計画事業等」によるものがこの15年問に32.8パーセントから53.4パーセントヘとふえている。 日木の住宅は、経済活動の犠牲となってどんどん壊され、住民は居住地から追われているのだ。  そのうえみんながローンと家賃に追いまくられていたのでは、なんのための「経済大国」なのか、なんのために動いているのか、だれしも疑問を感じるだろう。  家を買っても借りても、持っている人も、公共住宅でも民間借家でも、いつ住生活をおびやかされるような事態が発生するかもしれない。今はそういう状態になっているのである。  孟子は「恒産なき者は恒心なし」とも書いている。 「恒」とは「安定した」というほどの憲味だが、現代の日本社会の現状に照らしてみれば、個人個人が家を持つということよりも、持ち家であろうと借家であろうと、社会全体として安心して住むことのできる住まいが必要であるのに、今はそれがおびやかされている。  私が日本の現状を「新しい住宅危機―居住難」と位置づけるのは、日本社会全体から「恒産」がなくなりつつあるからだ。  では、私たちはこれにどう対処すればよいのか。とりあえず次のようなことを挙げておきたい。  まず、不動産広告などにつられて無理な買い物(もちろん住宅に関して)はしないことだ。  また家賃の比較的安い公営住宅や公団住宅に住んでいる人はなるべく住み続ける努力や工夫をすること。 必要とあれば住民迎動を組織するぐらいの覚悟がほしい。  できれば、日本の住宅政策を改革するためのさまざまな迎動に参加する。地域の中でも住む権利を守ったりする運動を起こしていく。 選挙の際には、候補者に住宅政策についての意見を求める。 特に西欧諸国では一般化している家賃や固定資産税などの減額制度(やローンの利子を収入から控除する制度の確立を求める。  最近の底地買い、地上げ屋に対しては弁護士と相談し、警察とマスコミに知らせ、決して泣き寝入りしたりあきらめたりしないことが大切だ。 同時に、いかなる方法であれ、居住権をおびやかす行為を罰する法律の制定をめざす。  最終的には、国家の責任で国民の住生活を保障することを規定した「住居法」の制定を求めていくことも必要になってくるだろう。 今は、そういう運動を起こさないと住み続けることのできない時代になっているのだ。  

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