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デフレがもたらす影響       

2018年5月12日「土曜日」更新の日記

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 確かに戦後の長きにわたって、「借金してでも家を買え」などといわれ続けてきました。それはなぜでしょうか。答えは長期のインフレが続いたからです。戦後、朝鮮特需を経て日本経済は本格的な高度経済成長期に入り、最終的には1980年代にバブルが出現しました。その間、物価はどんどん右肩上がりを続け、それにともなって株価や地価も上昇するという資産インフレの状態が続いたのです。  そのような状況下においては、確かに借金をしてでも資産を膨らませていったほうが、有利な運用ができます。仮に借金の額が膨らんだとしても、一方で保有している資産の価値も上昇しているため、相対的に借金の負担を軽くできたからです。  しかも、最初にマンションを購入し、家族が増えて手狭になったら、次に一戸建てに住み替えるということも、容易にできました。地価が上昇傾向を続けるなかでは、最初に購入したマンションの価格も上昇していくため、それを売却して借金を清算し、新たにローンを組んで一戸建てを買うという行為が、いともたやすくできたのです。もちろん、お金を貸してくれる金融機関も、地価は必ず値上がりすると信じていましたから、どんどんお金を貸してくれました。  しかし、もはやそんな時代ではありません。もう耳にタコができている人も多いことでしょうが、今は物価が右肩下がりで下落を続けるデフレ経済の状況下にあります。  物価が下がれば、相対的にお金の価値が上昇するため、生活がしやすくなる面もあります。しかし、それはあくまでも、給料が安定していればの話です。本格的なデフレ局面に突入すると、人々はさらなる物価の下落を先読みするため、「もっと値段が下がってから買えばいいや」と、買い控えの行動に出ます。モノが売れなければ、企業の業績は悪化し、給料が下がっていきます。 それが、さらなる買い控えにつながり、企業業績がさらに悪化し……というように、悪循環に入っていきます。これがデフレ経済の構造です。  もちろん、地価の下落にも歯止めがかからなくなります。銀行の不良債権が、いくどとなく処理が終わったといわれながらも、いまだに何ら決着がつかずにいるのは、デフレ経済によって保有資産の劣化が進み、新たな不良債権が次々に発生しているからでもあります。  このような状況下では、今まで住んでいたマンションが手狭になったからと住み替えを検討しても、マンションを売却したとたんに損失が発生し、ローンを完済することができません。また、給料の減少によって、今住んでいる自宅を売却したとしても、やはりローンを完済することができず、借金を払い続けざるをえない状況に陥ります。  新築のマンションを5000万円で購入しても、6~7年も住めば、価値は3500万円程度まで下落してしまうのが現状です。もし長期ローンを組み、自宅を購入するのなら、そこに一生住みつくという前提で物件を選ぶ「覚悟」、きちっとした「将来計画」が必要になります。

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