管理人はだれ！？

2018年5月14日「月曜日」更新の日記

　借り入れのほとんどを住宅金融公庫ならびに民間金融機関などでカバーできた人には関係のない話ですが、特に大企業のように従業員の福利厚生がしっかりしているところに勤務している場合、社内融資を受けて住宅を購入している人も少なくありません。 　確かに、住宅ローンを組むときのセオリーとしては、「金利の最も低いところを優先して借り入れる」ということがありますので、それにしたがえば、最も金利の低い社内融資を利用するというのも、わからないではありません。 　しかし、社内融資には一つ落とし穴があります。それは、転職する際には、残債をすべて完済する必要があるということです。 　今や終身雇用制度は崩壊し、定年まで一つの会社で勤めあげようという意識は、徐々に希薄化しつつあります。外部からのへッドハンテイングも盛んに行われるようになり、より有利な条件のもと、他の会社に移籍するということが、日常茶飯に行われるようになるでしょう。もし、今よりも条件のいい転職の話が出たとき、社内融資を受けていたりすると、転職に際して残債を一括返済する必要に迫られます。もちろん、そのための貯金があれば別ですが、そうでない場合、せっかくのチャンスをフイにしてしまうことにもなりかねません。 　もっとも外資系企業の場合は、社内融資を抱えている人には、その肩代わりも条件に提示してくるケースもあるようなので、転職先の条件次第ということもあるでしょうが、それはきわめて恵まれた例です。なかには、もっと悲惨なケースがあります。 　在京のある電鉄会社は、100％出資の子会社をつくり、その子会社にバス事業部門を営業譲渡したうえ、従業員をすべて新会社に転籍、出向させるという手法をとりました。出向であれば、前に在籍していた会社との労働契約が維持されるため、特に問題は生じないのですが、転籍になった場合、前に在籍していた会社との契約関係がなくなり、新しい会社との間に労働契約関係を結ぶことになります。その結果、転籍にともなって、前の会社で社内融資を受けていた場合は、それを全額一括返済する必要性に迫られたのです。 　しかも、この会社はさまざまな条件を押しつけて、転籍を選ばなければならない状況にまで、従業員を追い込みました。終身雇用制度が崩壊するなかでは、このような無法ともいえる行為を、会社側が行ってくるおそれもあります。 　また、社内融資を受けてしまったがために、会社に飼い殺しにされる危険性も、頭に入れておく必要があるでしょう。聞いた話によれば、社内融資を受けて自宅を購入したとたん、遠隔地への転勤を命じられるというケースもあるそうです。 　もはや自分の勤務先に対して全面的な信頼を置く時代は終わりました。勤務先とはある程度の距離を置くことも、考える必要がありそうです。

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