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北海道の家は広かった

2018年6月10日「日曜日」更新の日記

2018-06-10の日記のIMAGE
子どもの頃を過ごした北海道の家は広かった。玄関をがらりと引き戸であけると、家の中央を長い廊下がズバンとつらぬき、両側に部屋が並んでいる。つきあたりにも建て増しした部屋があり、居間は板張りで(フローリングじゃないぞ。板の間だ)壁の一部がレンガをつんだ煙突になっているという、なんか物語のような家だった。で、その玄関の戸締まりも、木の突つかい棒をななめにわたして、白いカーテンをしゅっと引いておわりという、やっぱり物語のような戸締まりだった。家はけっこう繁華街にあったが、表通りを馬が歩いていたし、犬ぞりに乗ったおばあちゃんが魚を売りにきたりしていたから、町全体が物語だったのかもしれない。それって私が10歳ちょい前くらいだから、1960年代の終わり頃だよ。1971年には、その家を建て替えてしまったんだけど、なぜか玄関あけたら、そのまま、雪で明るい窓の横にベッドを置いて眠っていた。雪のある空気は、他の空気とどこか微妙に違う匂いがして、外気が感じられる窓のそばで寝るのが、とても好きだったのである。

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