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家に対する考えを改めるとき

2019年2月22日「金曜日」更新の日記

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高度成長時代、マイホームは資産だった。なかなか買うことができず、買うことができるのは頭金を貯金でき、金融機関から大金を借りることができる人間だけ。限られた人間だけ手に入れることができるものだったから、とにかく手に入れさえすれば"勝ち"だった。最初のマイホームはマンションでも一戸建てでもよい。とにかく不動産を手に入れておけぱひと安心。地価が上がればマイホームの価値も上がるから、時代に取り残される心配はない。そして、何年か後に買った時以上の値段で売り、ローンを精算。手元の残った現金を頭金に、新しい家を買う。これが、高度成長における「住宅双六」の"あがり方"である。ところが、地価が安定、もしくは下がり続けている今は、そんな双六ゲームはあり得ない。だから、買い換えを前提にするのではなく、一生住み続けることを前提にマンションを買う時代とされている。一生同じマンションに住み続けなければならないので、S・I住宅などの工夫が生まれているのだ。土地の値段が上がり続けていた時代は、買い換えができた。しかし、土地が値下がりする時代は買い換えができない、という理論は、正しいように思えて実は不完全だ。というのも、日本より地価が安く安定している国では、買い換えや住み替えが活発に行われているからである。例えば、アメリカ合衆国の場合、仕事の都合で遠隔地に行かなければならなくなったとき、一時的に人に貸すのではなく、「FORSALE」の看板を出し、売却するのが普通。また、日曜日に家の手入れをするパパ族が多いのは、手放すときに少しでも高く売るため。アチラの方は、マイホームを売ることに躊躇せず、新たな出発として前向きに考えているのだ。それに対し、日本人は土地や家に対する執着が強い。日本人が土地に執着するのを「農耕民族の血のなせる業」とする考え方もあるのだが、鉄筋コンクリート造のマンションに住んでいながら、今さら農耕民族もないだろう。鉄筋コンクリート造のマンションは、自由な発想と構造によって生み出されるもの。しかし、そこに住む人の意識は、まだ自由ではないといえる。土地の値段が低いレベルで安定していれば、購入できる人が増える。となれば、不動産売買が活発になる可能性が高い。安くマンションを買った人は、さらに安く売却しても損が少なく、買い換えやすい状況が生まれてくるからだ。だから、買い換えを積極的に楽しむ人が増えてくると予測されるのである。これからは、「家」に対する発想の転換が求められる。

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