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ゴミは10年で6畳問に8分目

2019年2月26日「火曜日」更新の日記

2019-02-26の日記のIMAGE
子育てをしている時期、寿司屋で出前を取ると、大きな桶に握りがぎっしり詰まった状態で届けられるのが普通だ。高校生ぐらいの男の子が二人もいれば、この桶が瞬く間に空になり、それでもまだ物足りなそうな顔をしてガリをしゃぶったりする。これが、子供が巣立ったあとの二人暮らしになると、小さな桶に一つか二つで十分になる。食べる量が少なくなったにもかかわらず、大きな桶で持ってきてもらえば、端のほうにほんの少し握りが固まるか、スカスカに並べられるだけ。エンプティーネストに夫婦二人だけで暮らすのは、大きな桶に一人分か二人分の握りを無理矢理のせてもらっているようなものである。大きなすし桶に一人分か二人分の寿司ならば、一目でムダがわかる。しかし、エンプティーネストに一人か二人の暮らしはそうはならない。家のほんの一部だけを使っても、ムダという印象が薄いのだ。それは、家の中に荷物という名のゴミがあふれているからに他ならない。家が広いと、捨てようかどうしようかと迷ったものをとりあえずしまっておきがち。巣立つ子供たちも捨てるに忍びないものをとりあえず置いておく。そういった「とりあえずゴミではない」が、実質ゴミというものがどれくらいあるのだろうか。私は、10年住んだ3LDKを出るとき、ある実験をしたことがある。まず、6畳の洋室を空っぽにして、捨てると決めたものをゴミ袋に入れて、その部屋に積んでいったのである。ゴミ袋はみるみる積まれ、6畳間からあふれ出す勢い。実際にあふれ出すことはなかったが、天井高2.4mの6畳間がほぼ8分目(面積の8割ではなく、体積の8割)までゴミで埋まったのである。これをゴミの目安とすると……。10年間で6畳間に80%なら、20年間で6畳間の160%。30年間で6畳間の240%。つまり、30年住み続けた家には、6畳間2室以上を埋め尽くすゴミが溜まっている計算になるわけだ。大型の戸建てに住んでいる場合、そのくらいのゴミが溜まっている可能性は非常に高い。現在、二世帯同居で暮らしているわが家を思い浮かべても、そのくらいはありそう。さて、そのゴミを検証すると、人間国宝"級"の人の作による和服やら、私の妻が子供時代の貴重な8ミリフィルムやら、もし火事になったら命をかけても持ち出したい荷物があるのも確か。しかしである、本当に火事になり、小学生のわが息子が「僕、和服とフィルムを取ってくる」と燃えさかる家の中に入ろうとしたら、どうだろう。親も祖父母も制止し、どうせ着ない服だし、どうせ見ない8ミリだしとあっさりあきらめる、とその程度の貴重品である。だいたい、家族の健康や命をかけてまで、失いたくない貴重品など一つもない。となると、捨てるために必要なのはきっかけ。住み替えを決意すればよいだけなのである。

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