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大差ない

2019年5月27日「月曜日」更新の日記

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土地建物が同じ人の所有物で、建物のみに抵当権がつけられ、土地には抵当権がないとき、建物を抵当権実行による競売で取得した人は敷地について法定地上権を取得でき、また敷地が借地のときは、建物を競落した人は借地権の承継の承諾を地主に請求できます。では、逆の場合はどうでしょうか。土地に抵当権利がついていて、建物にはついていないという場合ですが、この場合、土地は競売されて第三者のものになるが、このとき建物は取り壊さなければならないかどうかという問題が起こります。このような場合は、抵当権設定の時期と、建物の建築時期のどちらが早いかで、運命が決まってきます。つまり建物建築の時期が早いときは、法定地上権という権利が第三者の土地競落と同時に生じ、別段、建物を取り壌さなくてもよいことになり(民法三八八条)、これと反対に建物建築よりも土地抵当権設定が早いときには、建物を壊して土地を明け渡さなければなりません(民法三八八条の適用はない。大審・大四・七・一判決)。法定地上権とか、地上権といわれるものは。土地使用権の一種で、土地賃借権と似ていますが、土地賃借権というのは。地主と借主との契約で、借主は土地の使用収益を認められた代償に地代を支払い、地主は地代を受け取る代わりに借地人の土地使用収益を認めるという、いわゆる債権関係です。ところが地上権というのは、所有権などと同様、法律上「物権」とよばれ、債権である土地賃借権と違い、地主の承認を得ないでも自由に処分(たとえば売却)できますので、同じ土地使用権でも、はなはだ強力なものです。したがって、土地付建物というとき土地の所有者が建物も所有しており、この土地建物の双方を売るのが一番ふつうですが、ときに地上権付建物の場合もあります。そのときは土地貨借権とは違って。地主の承諾なしに地上権それ自体が売れることになりますから、こんな場合であれば、買手は所有権を取得するのと大差ないということができるでしょう。

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